血清亜鉛値の基準値は正常値ではない
日付: 2008年2月28日
統計的数字である基準値を医学医療の世界ではうっかり正常値と間違えている傾向にあることは、
本HPの研究報告書の中でもはっきりと表明してきた。
特に、少なくとも血清亜鉛値については『基準値は正常値でない』と症例をあげ、
又、2005.03. までの亜鉛欠乏症を疑った症例236例の分析から、このことを証明して、
強調してきた。
上の図は、2008.02.までの約五年半の疑い症例500例より、亜鉛補充療法著効有効で、
且つ、データの揃った亜鉛欠乏症確診例257例について、治療 開始前の血清亜鉛濃度の分布図である。
確かに、基準値の最低値 65μg/dl 前後から低値には、多くの亜鉛欠乏症例が存在するが、
65μg/dl 以上の基準値内にも存在し、図のごとく、現時点迄では44%を占めている。
中には 初診時血清亜鉛値 109μg/dl の立派な味覚障害の欠乏症例も経験している。
つまり、基準値を正常値と錯覚して、基準値内であるから、亜鉛欠乏症ではないと考えて、
亜鉛欠乏症を否定してはいけない。
PC的、単純な思考過程では、亜鉛欠乏症を診断することは出来ない。
しかし、欠乏症の診断を可成り経験してきた現在でも、基準値内の高値の場合、 亜鉛補充療法の試行に
踏み切ること、更に、継続することに躊躇を感ずることは否定できない事実で、この基準値内の割合は
若干増える可能性があると考える。
80μg/dl 以上では、一応、7.4%であるので、少なくとも血清亜鉛値 80μg/dl では亜鉛欠乏症の可能性を
疑って、慎重に対応すべきと現在は考えている。