症例名:症例4 爪甲の異常
日付:2016年10月14日
2006.03.20.
爪変形。 2005.熱傷で形成外科的治療を受けた。
そのころより右母指爪変形生じ、次第に左中指、左母指、右示指に進行した。 スプーン状変形。
他に両下肢に皮下出血あり。
2006.03.22.
Hb:12.7 MCV:86.8 Fe:170 フェリチン:47.9 Zn:89 Al-p:174
2006.03.29.
アフタ性口内炎2-3ケ。先月より生じている。何年も前より、アフタ性口内炎が2-3回/月に生ずると言う。
味覚良く。食欲良。皮疹無し。
プロマック投与開始する。
治療経過詳細
2006.03.20.
【初診】爪変形。2005.熱傷で形成外科的治療を受けた。そのころより右母指爪変形生じ、次第に左中指、左母指、右示指に進行した。
スプーン状変形である。他に両下肢に皮下出血あり。
2006.03.22.
Hb:12.7 MCV:86.8 Fe:170 フェリチン:47.9 Zn:89 Al-p:174
2006.03.29.
アフタ性口内炎2-3ケ。先月より生じている。
何年も前より、アフタ性口内炎が2-3回/月に生ずると言う。
味覚良く。食欲良。皮疹無し。プロマック投与開始する。
2006.04.05.
口内炎いつもは1週間はかかるが、今回は2-3日で治癒した。
油ものでよく下痢があったが、最近はよい。
数年前甲状腺機能低下症と言われ、チラージン服用していたが、現在中止。
FT3:3.1 FT4:0.98 TSH:1.51
2006.04.19.
3月某病院皮膚科で、爪の変形は原因不明と言われる。口内炎生じない。
2006.05.16.
何年来続いていた、日に何回かの軟便下痢が生じなくなった。
口内炎も 殆ど生じない。食欲変化無し。
2006.06.13.
その後、口内炎生じない。右足趾白癬症 爪:F
Hb:12.0 MCV:83.9 Fe:80 フェリチン:56.7 Zn:80 Al-p:232
2006.07.18.
07.04より喘息で入院。プロマック1週間中断、口内炎、07.15. より口角炎発症した。下痢、3-4日
2006.08.25.
受診中断。プロマック終了となる。
2006.11.02.
Hb:12.4 MCV:86.0 Zn:113 Al-p222
2006.11.28.
爪は9月頃にすっかり綺麗になったという。爪 F
口内炎は殆ど出来ないか、出来てもすぐ治癒という。口角炎は発症せず。
2007.03.頃 受診予定。
コメント
爪の変形は鉄欠乏性貧血で有名である。私はまだ経験したことはないが、腸性支端皮膚炎は皮膚のみならす、爪の異常も生ずると言う。
日常臨床でよくあるお年寄りの脆弱な皮膚、角化層が菲薄化し、容易にペロリと剥離する。擦過で水疱形成や浅い皮膚内の出血を生じ、掻痒を伴うこともしばしばあるいわゆる老化した皮膚である。こんな症例では、しばしば爪の変形や異常を伴う。
このような老化に伴うものとと考えられ、積極的な治療を受けなかったお年寄りの皮膚の大部分は亜鉛の補充療法で、驚くほどきれいになる。全く若人の皮膚とは言えないが、脆弱さが無くなり、可成り正常になる。
その時、爪の異常も治癒することをしばしば経験し、もしかして、この症例もと考え、鉄欠乏によるものを否定して、初診時血清亜鉛値:89と可成り高値であったが、補充療法をしてみた。
爪の改善は時間がかかり、亜鉛などの測定を特に初期にしていないので、典型的な変動をとらえていない。
しかし、永年発症していた、亜鉛欠乏症に特徴的な口内炎や口角炎の発症が抑えられ、下痢の発症も変化していること、また、2006.11.02の亜鉛値が113であることから、この症例も亜鉛欠乏によると考えたが、如何なものか?
カテゴリー:皮膚疾患