【亜鉛欠乏症診療の疑義欄】
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倉澤 隆平
2002年、多彩で、多数の亜鉛欠乏症患者の存在に気が付いて、その知見の周知に努力して、20年目になろうとしています。亜鉛欠乏症の生物学については勿論のこと、その臨床についてもまだまだ判らないことだらけです。しかしまた、判ってきたことも数多く、その知見を駆使して、複雑に絡み合い、原因不明ともされ、時には奇妙にも思える個々の患者の多彩な症状・病態を、単純で、安価、且つ安全な亜鉛補充療法で軽快・治癒に導くことも可能になってきました。
しかし、亜鉛欠乏症の診断・診療の臨床の現場において、現在、ヒトの『血清亜鉛値』とは、ヒトの状態の何を表すのか?不明確のまま、ましてや『血清亜鉛値の基準値』はその定義さえも不明のまま、【数値のみが独り歩き】をしているように思えます。飽くまでも生物であるヒトはアナログの存在であり、そのほとんどの疾患もアナログ的なものと言えます。特に、この亜鉛欠乏症は典型的なアナログ的疾患の一つであると私は考えます。現代のIT社会に蔓延るデジタル思考のマニュアル化した診断・診療法では、網の目が荒く、誤診や誤治療の基と危惧しています。この様な医療への基本的考え方を含め、症状や数値の変化の見方や考え方は勿論、ヒトの亜鉛欠乏症の個々の診療について、具体的な症例により、真剣に疑義・検討するような欄になればと思っています。
例えば、亜鉛とのキレート作用を持つ薬剤を常用する患者や、特に、多剤服用の亜鉛欠乏症例では、場合により低血清亜鉛値のことも、高血清亜鉛値のことさえもあるようです。
日頃の亜鉛欠乏症の診療で気になったり、疑問に思うこと投稿いただき、共に考え検討し、より間違いの少ない亜鉛欠乏症の診療に近づき、作り上げれればと思っています。日頃の診療で疑問に思ったこと等気軽に投稿を!!倉澤現在、亜鉛欠乏症の新掲示板を新設中です。
この欄では、亜鉛補充療法の疑義・検討(コツや考え方)の欄として、出来れば、実際の症例に則してご投稿いただいて、お互いに検討し、考えながらより良い亜鉛補充療法を広めたいとの趣旨で設置した欄です。
私もどうしたらよいのか?不明なこと沢山に出てくることでしょう。
亜鉛欠乏症の臨床はまだまだ判らないことだらけです。どの様なことでも結構です。投稿してPB24いただきたいと思います。お互いに学びましょう。
例えば、〇亜鉛補充療法中止の時期は?
〇高血清亜鉛値の亜鉛欠乏症例は?
〇超低血清亜鉛症例の経験は?
〇***の血清亜鉛値にするとは正しい?
〇亜鉛補充療法の使用薬剤や投与量は?etc,etc.etc,
キッと沢山の疑義あることでしょう。薬剤(化学物質)と亜鉛欠乏症① 倉澤隆平【亜鉛欠乏症の発症は種々の要因が合わさったものと考えるが、主要なものは食である。】
しかし、亜鉛欠乏症の臨床では、【一部の発症・難治化に薬剤が重要な役割を担っている。】食、特に、主食が亜鉛不足の基礎にあることは否定しえないと思うが、亜鉛欠乏症の発症症例から見て、初期のころから外来でしばしば目に着いた薬剤は、単剤では、高脂血症、骨粗鬆症、利尿薬や精神安定剤系統、PPI、チラージン等などで、常用・連用されているものであった。例えば、検診で高脂血症を指摘され、スタチン系薬剤を処方されて直ぐに、または暫くして、亜鉛欠乏の舌痛症や皮膚掻痒症などを発症・受診した症例は多く、亜鉛補充療法で容易に治癒するが、中には、その薬剤を除くまで完治しないことも、再発することもしばしばあった。PPIが賦形薬のように同時に処方された場合がより目立った様に思う。
次第に多くの症例を経験するようになってからは、もっと広範囲で、特に、多剤服用者に発症症例も、また、難治者もより多いことが判り、薬剤が一部の亜鉛欠乏症の発症・難治化に関係するらしいことは間違いないと考える様になった。難治化症例の治療には、特に、多科・多医療機関受診症例には調整含めて、苦労していること述べて置かねばならない。
冨田 寛著『味覚障害の全貌』に記載されている 表4 味覚障害を起こす薬剤(1,2)
<TeaCupの旧掲示板PDFファイル ダウンロードして 2022年4月2日を 参照。>
この表は味覚障害を起こす薬剤であるが、亜鉛欠乏症を起こす薬剤と読み替えても凡そ、良いと考える。これ程多くの薬剤があることに筆者は驚いている。しかし、筆者の実感として、最近はもっと多くの薬剤が関与していると考えている。また、このことを殆んどの医師、薬剤師、薬学者は知らないこと、是非、関係者同士の周知への努力を願う者である。ただし、亜鉛とそれぞれの薬剤のキレート作用や化学反応の強弱、作用の場でそれぞれの生体内での反応の強弱については、まだ、充分判っていないことが多く、臨床の現場での知見の集積が必要であると考える。しかし、薬剤が疑われる亜鉛欠乏症の治療、特に難治症例の治療に当たっては、これ等の多くの薬剤の存在を常に頭に置く必要があると言え、また、それぞれまだよく判ってはいませんが、作用・反応の大小は別にして当然、【亜鉛不足だけでなく、併用薬剤そのものの作用・効果への影響をも考える】こと必要であろう。
【人】の体内での併用薬剤同士の作用・効果のそれぞれの影響は予測されては来ましたが、亜鉛と併用薬剤との多くの反応が、一部ではあるが明らかになり、亜鉛欠乏症と言う負の疾患発症も明かになりつつある現在、活性化学物質である薬剤の併用につき、特に、多剤処方と言う医療界の現実を、改めて真剣に、考える機会になって欲しいものと思う。舌痛症と薬剤 倉澤隆平【大部分の舌痛症は亜鉛欠乏症である。】また、
【舌痛症の難治化の主因は薬剤である。】と現在(2023/05/31)は考えている。
MIMAKI Dataによれば、2002年秋、多数で多彩な亜鉛欠乏症の存在に気が付いた初期の頃から、舌痛症・口腔内違和感は亜鉛欠乏症の主要症状の1症状であり、2002年11月には亜鉛補充療法で舌痛が劇的に治癒することを経験し、その後次々と、いわゆる舌痛症を軽快・治癒せしめて来た。
ただその当時、難治の1症例 K.S.さん(84)がおり、味覚障害、口渇、滲みる舌痛、無味、水が苦い異味感など。血清亜鉛値:69。断続的であるが、約1年半の亜鉛補充療法をした。症状の改善は、殆んどなく、燻り続け。血清亜鉛値も1度:85となったことはあるが、後は55~77の間を燻り続けた。その後も、舌の滲みる痛み、食欲不振、口乾、口内違和感、口唇の乾き、掻痒等などを訴えて、数年間に年に1回程度は受診、1~3ケ月の補充療法を適当に受け何の効果もなく、血清亜鉛値も58~78で追跡もなかった。口乾感からシェーグレン症候群等も考え、唾液分泌検査もしたがハッキリした所見はなかった。だがだが、初診時のカルテに高脂血症、骨粗鬆症、多発性脳梗塞、うつ状態の記載があった。
2002年の当時、味覚障害、舌痛症は亜鉛欠乏症?の疑いを持ち、食事、偏食への関心はあったが、現在と異なり、まだ薬剤が亜鉛欠乏症の発症にそれ程の関与は不知であった。
知らなかったとは言え、誠に申し訳ないことと思うが、治療に難渋した1症例であった。
さて、掲示板;亜鉛補充療法の実践欄の2023/01/31投稿の【T.F.さん85】の症例である。約1年前から月に1~3回、2~3日続く、右頬部内側から歯肉に径5cmほどの範囲のヒリヒリした口内痛が発症。血清亜鉛値:79とやや高目である。舌痛の性状はいわゆる舌痛症で良い。亜鉛欠乏症として補充開始。補充療法後舌痛発症せず。Zn:79=>100=>135と血清亜鉛値の変動も典型的な亜鉛欠乏症パターンといわゆる舌痛症と確診された。実はT.F.さんは、MIMAKI Dataによると2008/11/04と2016/03/09に,皮膚掻痒を訴えて受診。血清亜鉛値:89と91で、血清亜鉛値が高目。亜鉛欠乏症の可能性は低いと非治療とされていた。更に、今回の問診で高脂血症と高血圧で長期にわたって薬剤を服用していることが判った。掻痒症の傾向のこと、日常の血清亜鉛値がやや高目の亜鉛欠乏症で、そして、亜鉛補充療法で、135の高目の血清亜鉛値になり。薬剤性亜鉛欠乏症で矛盾なく説明可。
現在、プロマックD75 1錠/日の維持量で症状の発症なしですが、逆に、高脂血症、高血圧につき、これまでの投薬効果の変化の追跡が必要であるかも知れない。多剤服用症例の維持療法 倉澤隆平T.K.さん 79歳 <(旧)TeaCup掲示板及び新掲示板 2023/03/12 再掲の続き>
【コメント】
高脂血症、高血圧、骨粗鬆症、逆流性食道炎、脊椎狭窄症等などで某医療センター、病院、医院等など、多医療機関で投薬を受けていた患者。2015年頃にも、ピリピリする舌痛と口腔内違和感の症状で漢方薬、塗り薬、うがい薬で、2~3ケ月治療を受けた既往あり。
2021/03 頃から舌痛と口唇ががピリピリする感じ。舌尖、舌の両側の痛みが発症。
2021/09 リピトール、アムロジン、ラロキシフェン、ネキシチウム、モサプリド、アルプラゾラム、リリカ、漢方薬等など処方。
2021/09/06 多剤服用患者。舌痛の発症と医療の経過、舌痛の性状及び局所所見等などより、多剤服用によるいわゆる舌痛症である可能性が高い。血清亜鉛値測定を含む血算・生化学検査用の採血。遠方よりの受診でもあり、初日からプロマックD75 2T分2による標準的亜鉛補充療法を開始。初診時<Zn:84> その他血算・生化学はいわゆる基準値内である。
21/09/15 亜鉛補充療法の副作用なし。舌尖の痛み軽くなった感じ。夜間起きた時の舌の感じ楽になった。
【多剤服用の亜鉛欠乏症の治療方針】
亜鉛補充療法の効果が一応はある様なので、【多剤服用は一応継続しつつ、多科多医療機関の受診は出来るだけまとめ、整理できる薬剤は整理を検討するのが原則である。】が、現実には大変難しいことである。舌痛症や食欲不振の治療を目指した?薬剤は仕切り直してよい。PPIが亜鉛欠乏症の発症原因の大きな一つであること、案外知られていない。
本例ではPPIは逆流性食道炎の処方らしい。勿論、短期使用は可だが、就寝時の左側臥位で殆んど不要である。ラロキシフェンは対象疾病より一時中断可。高脂血症についても一時中断を試行して、舌痛症との関係を確認することは可能な薬剤と考えるが、なかなか担当医に受け入れられないのが現実である。【継続的に必要な薬剤は試行後に再開し、亜鉛欠乏症の再発予防法を検討すればよいのだが、、、、。】
【その後の経過】
21/12/15 舌痛は舌尖のみに、2/10程度。昼間は楽で忘れる時多くなる。<Zn:107>
やや燻るも、軽快が続く。骨粗鬆症の薬、リリカもやめた。
22/01/19 舌の痛みはまだ舌尖だけにあるが、12月より少し良くなった。<Zn:136>
22/05/25 困ったことなし。服薬:アルトバスタチン、エゼチミブ、アムロジン、ネキシチウム、アルプラゾラム、
多剤服用患者であるが、プロマック2T投与で舌痛は治まってる。
維持量としてどこまで必要か、プロマック 2T=>1Tにし追跡。 <Zn:103>
22/07/27 舌は大丈夫、舌尖偶に。口周りがピリピリがあり。朝起きた時に気になる。
味覚、食欲、皮膚共に困ったことなし。 <Zn:82>
22/09/21 舌尖の痛みあり。PPI暫く飲まないでいる。<Zn:85>=>1Tで維持は不足。
22/11/16 舌尖と両側中央よりに徐々に出て来た。痛みがするな程度だが、毎日感ずる。
やはり、プロマック1Tでは維持しきれない様である。プロマック 1T=>2Tにする。
23/01/11 2Tになってだいぶ違う。舌の真ん中あたりの痛み残っているが、軽くなった。
1)アトルバスタチン2)エゼツミブ3)アムロジピン4)アルプラゾラム 薬剤の検討まだ必要。<Zn:120>
23/03/15 舌痛なし。舌尖少し感ずることあり。前より全く良い。Zn:102
23/05/24 現在困ったことなし。夜目覚め、気になることはあり。Zn:110【コメント】
医療センター、病院、診療所等、多医療機関受診の多剤服用患者の舌痛症。幸い、標準の亜鉛補充療法で舌痛症は比較的容易にコントロールされ、血清亜鉛値の変動もあるが、血清亜鉛値は比較的高目であり、プロマックD751T(Zn量 17mg)では維持できず2Tに。
多医療機関から主医療機関に統一され、主治医と患者の関係良好。全身状態は主医療機関で、さらに、可能な薬剤の整理を含めコントロールをお願いする。
舌痛症について、もう暫く追跡。ヒト・人の血清亜鉛(値)濃度について 倉澤 隆平ヒト・人の血清亜鉛(値)濃度について
血清亜鉛値の絶対値がその個体内の元素亜鉛のどの様な状態を示しているか?は、まだ不明確である。
が、血清亜鉛濃度は身長や体重等の生体値と同様に、個々人に固有の適切な凡その血清亜鉛値がある。
その血清亜鉛値は、他の生体値と同様、ISO15189で定義された基準値内に分布していると言ってよい。
ISO15189定義の生体値の生物学的基準(範囲)値とは健康基準個体群の中央値±2標準偏差で表示される。血清亜鉛(濃度)値の変動に影響する事象
①血清亜鉛値には顕著な日内変動がある。
②短期的、長期的多少の血清亜鉛値の揺れがある。
③感染症、手術、ストレス等(病的変動?)での変動がある
④高濃度の経口摂取物(食事?薬剤)で一時的変動がある。
以上、これまでに学会・社会で一般に認められている注意すべき諸変動因子であるが、併用連用薬剤等、特に近年の多剤処方・服用傾向の動きから新たに注目すべきことと考え、以下追加記載しました。
⑤併用連用薬剤(特に、多薬剤)による慢性的な血清亜鉛値の変動(増減)が存在する。
●主として、食糧、食料等の食べ物による摂取不足により、慢性的血清亜鉛値の低下が生ずる。
亜鉛欠乏症の発症、または、症状の非発症の潜在的亜鉛欠乏状態は、主として●、⑤による状況と考えるが、全体の表現としてまだ未整理です。 2023/12/26 倉澤 隆平診断のデジタル思考は間違い① 倉澤隆平診断のデジタル思考は間違い
日本臨床栄養学会及び論文『亜鉛欠乏症の診療指針 2018』執筆の諸先生方にお聞きしたい。多彩でまだ未知の症状・疾患も多く、血清亜鉛値もまだ未知の多い亜鉛欠乏症は【デジタル的マニュアル化】に最も不適当な疾患の一つと私は考えるがどうであろうか?また、基準値は全く論外と考えるが、如何?
亜鉛欠乏症の診断・診療指針2018(案):追加論文①< https://www.ryu-kurasawa.com/20180722-2/ >
『亜鉛欠乏症と血清亜鉛値』~デジタル思考は間違いと言う筆者も当初はデジタル思考に陥っていた~にて、
2002年秋に、多くの、多彩な亜鉛欠乏症の存在に気が付いた時、それまでの医師の常識として、(株)SRLの基準値65~110μg/dLの‟いわゆる基準値”の数値は頭にはいっていた。日本の医療界では、『いわゆる基準値』が、その統計的概念を抜きにして、長年にわたり『正常値』として導入されて来た経過があったため、『基準値は正常値である。』とのウッカリ常識が、一般国民はもちろんのこと、多くの医師たちの意識の底に未だに潜んでいる。さらに、生体値は本来アナログの存在であるが、多くの医師の中にはデジタル的に捉えて、思考もデジタルのままの者も多い。臨床医療の現場でも、特に保健医療の現場では、大変に大きな問題である、と日頃考えている。『亜鉛欠乏症の診療指針2016』(日本臨床栄養学会)の血清亜鉛値への考え方は、デジタル思考で、間違っていると批判している筆者も、2002年、多数で多彩な亜鉛欠乏症の存在に気が付いた当初の頃は、ウッカリ、デジタル思考に陥っていた。『亜鉛欠乏症の血清亜鉛値は、欠乏症であるから全てとは言わぬまでも、健常者の基準値(65~110)の最低値65μg/dlの周辺か?それ以下の低値であろう。』と、何の論理的根拠もなく、思い込んでいたと上記の題名と内容で書き出し、2018年7月22日に亜鉛欠乏症のホームページ・トピックス欄に投稿したものである。あれから五年余が過ぎ去った。
『生物であるヒト・人はアナログ的存在で、当然、その疾患もアナログ的存在である。しかし、デジタル社会が進行し、検査データ等の表示が、当然、デジタル表示であることはやむ無しであるが、医学・医療の世界でのデータの読みも、思考過程さえも、デジタル化の傾向が強くなり、ウッカリとその異様さにも気が付かなくなりつつある。大変心配なこと』。日本臨床栄養学会の『亜鉛欠乏症の診療指針2018』中心に考えてみたい。何故か?2018年の『低亜鉛血症』の治療薬?と称する “ノベルジン” の医療保険適応薬としての追加と共に、この異様なデジタル思考の『亜鉛欠乏症の診療指針2018』が『同指針 2016』に替わり、インターネット上で公表され、浸潤、且つ拡散して今日に至った。血清亜鉛値も基準値も、その診断思考過程も、デジタル思考の<この診療指針>と<亜鉛欠乏症のホームページの診断・診療指針>とは【全く、似て非なる二説】であり、当然、基礎と臨床、特に、臨床医療の現場で混乱が生じている。亜鉛欠乏症のことは、まだ判らないことだらけではあるが、学会・医療界から何の批判・討論もなく五年余も過ぎようとしているのは異様と言うよりない。
2024年を迎えて、改めて批判と討論を再開始するが、批判は小生のHPや東御市立みまき温泉診療所のHPに既投稿済み。この五年間、全く反応・反論無しなので、もう少し具体的に展開して見ることも考えたいと思う。
亜鉛生物学・亜鉛欠乏症の基礎・臨床などの健常な発展のためにも、本掲示板に反論・討論を!!薬剤による血清亜鉛値の慢性的変動 倉澤隆平血清亜鉛値は、身長や体重の生体値と同じく、個々人に凡そ適切な固有の値を持ち、午前から午後に掛けて、平均で約20㎍/dL程の著明な日内変動はじめ種々な内的外的要因による短期・長期の変動し易い傾向がある。【個々人は固有の血清亜鉛値を持つ (仮説)】 https://hospital.city.tomi.nagano.jp/health-forum/1408/ の東御市立みまき温泉診療所の健康フォーラムのスライドに『血清亜鉛値の生理的変動』とまとめ、現時点で認められていると考えるが、さらに最近、次第に常用・連用薬剤、特に多剤服用例に、しばしば血清亜鉛値の継続的増・減を認めること明かになりつつある。【多くの薬剤が慢性的血清亜鉛値の変動に関与している】と追加したい。
ただしかし、【多くの薬剤、特に、常用・連用薬剤が亜鉛欠乏症の発症・時に難治化の原因となるが、発症時の血清亜鉛値は低値のことも高値のこともある】と、その事実を説明するにはまだ症例数が不十分と考える。是非とも多くの方々の注目と症例の積み重ねをお願いしたい。これ等の薬剤の併用と血清亜鉛値との反応は、【亜鉛と薬剤のキレート作用や薬理学的作用の反応の強弱などによるもの】と考えるが、【それぞれの薬剤やそれぞれの組み合わせの薬剤群とで、一律に生ずるものではなく、主にその反応の場である個々のヒト・人とそれぞれの薬剤と亜鉛との特殊な関係によるもの】と現在は言わざるを得ない。
兎に角【亜鉛欠乏症を生ずる可能性のある多くの薬剤が存在し、その中で頻度は不明ではあるが、常用・連用薬剤や特に、多剤服用症例に、しばしば亜鉛欠乏症の発症と亜鉛補充補充療法に抵抗する難治症例が出現する事実】を医療者は注目する必要があることを警告して置きたいと思う。
本来、亜鉛不足を生ずる原因が種々あろうとも、そもそも【同じ単一の亜鉛不足により、何故か?各も多彩な亜鉛欠乏症状がそれぞれのヒト・人に発症するのか?】また、【それぞれ単一の症状を繰り返すこともあれば、サイクルヒットのごとく多彩な症状を異時的に次々に発症したり、同時的に併発するのか?】そしてほとんどが、【単純な同一の亜鉛補充療法で軽快治癒するのか?】。もちろん、ヒト・人がそれぞれ個々別々であるからには違いないが、どの様に違い、どの様に同じなのか?興味は尽きない。
MIMAKI Data(亜鉛欠乏症疑い症例集積集)を振り返ってみれば、亜鉛欠乏症例の比較的難治傾向と思われた症例の中に、【特殊な薬剤等や多剤服用症例に、その様な比較的初診時高血清亜鉛値例があった】様に思われ
特に、初診時の血清亜鉛高値の場合、診断を誤らない様気を付ける必要がある。膨大な資料を顧みてみたいものと思っている。【亜鉛欠乏症の適切な診療には適切な診断必要】倉澤 隆平【亜鉛欠乏症の診断】
『亜鉛欠乏症のホームページ』=>「亜鉛欠乏症とは」=>「【PDF】亜鉛欠乏症について(冊子)」クリックにより約50頁ほどの【亜鉛欠乏に関する研究会報告書2006】がダウンロードされ、プリント アウトも可能です。
2006年刊行の報告書ですが、2002年に多彩で多数の亜鉛欠乏症の存在に気付いて、4年弱、350例程の疑い例中、確診例約250症例を基礎に導き出した診断方法である。2024年の現在でも、診断法は勿論、報告書の内容にも、殆んど誤情報はないと言えると考えるが、是非、厳しい批判の目を持って検証いただければ幸いである。
URL: Microsoft Word – …q…e.doc
亜鉛欠乏に関する研究会報告書』の28頁~
【亜鉛欠乏症の診断】
【Ⅰ】臨床症状、全身状態、治療経過等より疑い。
【Ⅱ】血清亜鉛値の測定=>可能性あり=>
【Ⅲ】亜鉛補充療法の試行。
(プロマック1.0gr/day 2X朝夕;Zn 34mg)
【Ⅳ】総合的に診断する。
1) 臨床症状の変化。
2) 潜在欠乏症状の軽快、治癒。
3) 血清亜鉛値の推移。
4) Al-P値の変動(総てではないが)。○ (Ⅰ)臨床症状より疑う。症状の多くは一般的症状でもあるので、全身状態や治療経過も加味する。複数の欠乏症状の存在は当然のこと亜鉛欠乏症の可能性が高まるので、問診が大切である。つまり、愁訴、主症状以外に、潜在的症状のチェックも大切である。
○ (Ⅱ)血清亜鉛値の測定。血清亜鉛値が低値であればより可能性が高いが、高値でも欠乏症の可能性があること、忘れてはならない。
○ (Ⅲ)亜鉛補充療法の試行。欠乏症の可能性があれば、亜鉛補充療法を試行する。現状ではプロマック1.0gr/dayの投与。どの期間試行するかはその症状と経過によるが、詳細は後述する。
○ (Ⅳ)総合的に診断する。1)臨床症状の変化。短期に症状の変化あるものは、観察と問診で変化が掴めるが、亜鉛補充療法の効果発現が遅い症状の場合に問題で、特に、以下の様な所見が参考になる。2)潜在欠乏症状の軽快又は治癒。亜鉛補充療法の効果発現の早い潜在欠乏症状の軽快治癒が診断の役に立つ場合が多い。
例:味覚障害時の食欲の亢進、掻痒の軽快治癒、下痢の軽快治癒。3)血清亜鉛値の推移。詳細は後述する。4)Al-P値の変動。後述する。【亜鉛欠乏症の適切な診療には適切な診断必要】倉澤 隆平【亜鉛欠乏症の診断】―具体的診断手法と考え方―
【亜鉛欠乏に関する研究会報告書2006】の【亜鉛欠乏症の診断】は2006年以前に、まとめられたものである。その内容は、現在でも殆んど変わりはないが、『(初診時の)亜鉛値が基準値の比較的高値を示す症例に、例えば多剤服用の難治褥瘡症例や舌痛症例など、しばしば併用薬剤が絡んでいる』ことと、まだ、定かな法則性をまとめられてはいないが、『血清亜鉛値の推移と血清Al-P値の変動の差異が、やはり、多剤服用症例等の難治症例の治療経過判断に有用な可能性を示唆している?』など、少しずつ判ったこと、推測されることがある。
『亜鉛欠乏に関する研究会報告書』の28頁~
【具体的診断手法と考え方】
【記】
さて、臨床症状も一般的なことが多く、血清亜鉛濃度の基準値も正常値ではなく、どうやって亜鉛欠乏症と診断し治療するのかですが、現状ではスライドに示すように(Ⅰ)~(Ⅳ)1)2)3)4)の手順に従って診断するのが良いと考える。(Ⅰ)なんと言ってもまず臨床症状である。多くのこれまでに判明している多彩な症状に患者さんの年齢や全身的な状態やこれまでの経過等々から亜鉛欠乏症の可能性を疑うことから始まる。
亜鉛欠乏症を疑うべき具体的な症状であるが、味覚障害は当然のことである。他に原因の認められない食欲不振はまず欠乏症を疑うべきである。舌痛はじめ口腔内咽頭の複雑な症状の大部分はまず疑って良いと考える。口角炎、アフタ性口内炎も然りである。褥瘡は例外もあろうが、殆どが亜鉛欠乏症であると言って良い。原因の見つからない慢性の下痢は主要な原因に亜鉛欠乏があると考えて、チェックすべきであろう。原因不明とされてきた皮膚疾患で亜鉛欠乏が主要因かと考えられる疾患などは後述するが、老人の脆弱な皮膚、原因のハッキリしない掻痒、全身性の掻痒の強い慢性的皮疹は、まず亜鉛欠乏を疑って対応をしてみて欲しい。かなりの患者さんが救われるであろうと思っている。精神身体的なことを含めた、不定の愁訴、多愁訴の患者さんの中に極端な血清低亜鉛値で、亜鉛欠乏症と考えられる人がいる。亜鉛の生体内での作用機序からすれば、まだまだ知られていない多くの未知の症状があるものと考えている。先ずは、生体内での亜鉛の機能から疑ってみることである。亜鉛欠乏を疑ったら、(Ⅱ)血清亜鉛値を測定する。亜鉛値が低値の場合はその可能性が高まるが、亜鉛値が基準値の比較的高値でも褥瘡や味覚障害、特有な皮膚症状、皮膚疾患等の亜鉛欠乏に特徴的な症状や他に原因のない食欲不振、高齢者の元気度の低下等々の症状や状況で、亜鉛欠乏症の可能性が高いと判断されるものには、(Ⅲ)亜鉛補充療法の試行をしてみるのが良い。現在私共は、プロマック1.0gr/day(プロプラジンク150㎎/day Zn34㎎/day)朝夕で投与している。亜鉛欠乏症は慢性欠乏症と考え、現、在はプロマックの胃潰瘍治療の常用量1.0gr/dayで良いと考えている。そして、(Ⅳ)総合的に診断する。その第一は当然、1)症状の変化である。 亜鉛欠乏症の症状と考えた症状が補充療法で改善して行けばそして治癒すれば、欠乏症であったとして、概ね良いであろう。しかし、中には、味覚障害や舌痛のごとく、必ずしも短期間に改善するとは限らない症状もある。亜鉛補充療法の効果発現期間については後述する。そんな場合、2)潜在的欠乏症状の軽快治癒がしばしば役に立つことがある。比較的短期間に効果が現れる傾向の症状で、患者さんが自覚していなかった症状、例えば食欲不振の改善とか掻痒感の消失などが亜鉛欠乏症であることを示唆することはしばしばである。更に診断を確定する一助に、3)血清亜鉛値の推移がある。更に最近、4)Al-P値の変動が参考となることが判って来た。 血清亜鉛値の推移とAl-P値の変動については後述する。【亜鉛欠乏症の適切な診療には適切な診断必要】倉澤 隆平【亜鉛欠乏症の診断】―具体的診断手法と考え方 ②―
2002年、多彩で多数の亜鉛欠乏症の存在に気が付いて、亜鉛補充療法で次々に軽快・治癒せしめ得た、当時と比較して基本的な診断手法に変わりはない。しかし、20年余前もなかったと言わぬが、最近は舌痛症に絞って外来を開いているためかも知れないが、多剤服用・多医療機関の症例の割合が増加して来ている様に思われる。
まだまだ、判っていないことが多いが、舌痛症例には薬剤起因性の症例が多くなって来ているのでないか?と考えているが、どうだろう。薬剤性の舌痛症の中には、初診時血清亜鉛値が低値、高値種々で、勿論全て欠乏症と言うつもりはないが、皮膚や爪、味覚や食欲、口腔内症状など亜鉛欠乏症状を同時的、異時的に合併していること多く、高値でも亜鉛欠乏症と考える。昔、少数の難治舌痛症例が当たるのか?稿を改め、警告としたい。
『亜鉛欠乏に関する研究会報告書2006』の29頁~
【具体的診断手法と考え方】②
【一言】
1)食欲不振は私の予想を遙かに超えた多くのお年寄りが感じている。『歳をとったためか、食欲がない』とか『まあまあ普通だが、 生きて行かなきゃならないから、食べている』とか『飯が美味くない』と聞いてみると訴える人が結構いる。加齢と共に人は色々な欲望が削がれていく。食事が楽しくなければと思う。こんな軽症から拒食にも至る多様なレベルの食欲不振の人がいる。 2)患者さんが食欲不振を訴えても、最近の諸検査で異常所見の認められない患者さんの大部分は亜鉛欠乏症と言って良いと考える。昔、病院勤務時にどうにも困って、抗ヒスタミン薬のペリアクチンを処方したことを思い出すが、余り確かな効果はなかったと記憶する。食欲不振を訴える患者さんを色々と検査しても、その原因を発見できなかったことは時々あった。その殆どは亜鉛欠乏症で あったのだと思う。そんな患者さんに是非、血清亜鉛値を測定して欲しい。 3)入院中の患者さんには、脱水もないのに輸液をし、食べないからと経管栄養や胃瘻等を安易に造設しないで欲しい。食欲がな いのに食べさせられる苦痛、医師は自分のこととして考えるべきである。食べられるのに食べないのは理由がある。食は最後まで残る本能である。4)舌痛はじめ口腔咽頭症状を訴える患者さんも多い。その訴えも多彩で『舌が痛い、滲みる、ひりひりする』はストレートであるが 『口内ががさがさする』『口内が荒れている』(肉眼では所見無し)『舌がすべらっこくない』『歯がおかしい』『膜が張った様だ』『口が乾く』『食べ物が通って行かない』等々、実に多彩である。そして、多くは他覚的な所見がない。訴えを軽く見ないで欲しい。5)口角炎。昔、終戦後の食料がなかった頃、小学生の級友の何人かは、しばしば口角炎で口角の皮膚が割れて、ヴィタミンB2の欠乏とか言われていたが、なかなか治らないのを見ていた。医者になって偶に口角炎の患者さんに出会ったが、治した実感がなかった。この口角炎の殆どは亜鉛欠乏症が主因と言って、間違いなしと今考えている。亜鉛に他の欠乏もあっても良いが・・・。6)褥瘡は殆ど総て亜鉛欠乏症によると言って良いと考えている。勿論、死亡直前の褥瘡等の、少数の例外はあるが、褥瘡についての詳細は後述する。7)慢性の下痢はまだ症例は少ない。下痢を主訴として来院し、亜鉛欠乏症による下痢と診断、補充療法で治癒せしめた症例はまだ無い。しかし、他の主訴で亜鉛補充療法中に、これまで慢性的な下痢でトイレが心配で旅行にも行けなかったのが治ったとか、 何時も下痢で薬を飲んでいたのが治ったと報告する患者さんは何人もいる。特に、症例3もそうであるが、下痢を主訴として、病院で 諸検査をして、異常が発見されずに諦めていたと言うケースは亜鉛欠乏を疑ってみる意味がある。かなりの確率で下痢が治るのでないかと思う。尤も、下痢を訴えない潜在の人が多い。8)我々のところではまだ症例がないが、潰瘍性大腸炎やクローン病などの原因不明の消化管疾患もその目で見直してみること必 要かと思う。血清亜鉛値、その推移、Al-P値の変動、是非トライしてみて欲しいと思う。皮膚や腸管粘膜の再生や維持、自己免疫的病因等々考えられよう。9)【症例】不定の愁訴『あっちが痛い。ここが痛い。怠い。疲れる。浮腫んだ。腹が清々しない。かゆい。食欲がない。今日はふらっとした。ぞくぞくした。ああでもない、こうでもない。あの薬、このくすりが欲しい。』あまりの不定愁訴の多さに回診の度にうんざりして、申し訳ないが適当に付き合っていた患者さん、それでもと念のため亜鉛測定して、血清亜鉛値32μg/㎗。こんな患者さんに多くの症状が隠れているが、この患者さん十分説明できない異常な浮腫が出現した時期がある。10)浮腫について、【症例】初診時87歳の女性。元来、医者嫌いであったが、2001年08月に息切れ、動悸、浮腫を主訴に病院受診。入院拒否した患者さんに高血圧、虚血性心疾患?との診断、外来で投薬治療が行われた。2004年06月初旬より、下腿に浮腫出現。その後顔から上肢、全身に浮腫拡大し、06月29日往診を依頼さる。日頃、体重38㎏の患者さんが46.6㎏で動けない状態。Alb, 3.4 Cr, 1.26 BUN, 39 SpO2, 83%。心エコー所見ではMsと右心系静脈の拡張あるが、左心腔の拡張は無し、心嚢腔に水あり。Zn値45μg/㎗であった。何れもこれだけの浮腫を必ずしも充分説明できないが、抗高血圧剤、利尿剤で、08月10日41㎏となり、プ ロマック追加。08月23日、浮腫すっかり軽快した。10月05日、体重34.6㎏となる。その後、Zn値は63~71μg/㎗。食欲良好、元気も良かったが、約一年後、脳梗塞、痴呆の進行もあって死去する。その間、軽度の浮腫下腿に認められることあったが、異常な浮腫の出現はなかった。症例1でもしばしば浮腫が記録されている。亜鉛補充療法後には全く浮腫は認められていない。不定愁訴で極端な低亜鉛であった症例も異常な説明できない浮腫があり、亜鉛補充療法後には浮腫は認められていない。浮腫については、充分 定かな根拠がある訳でない、しかし、心に止めておく意味がある様に思う。11)未知の欠乏症状はこれからも次々に出てくるであろう。多彩な症状が合併していることが多いから、症例をよく観察していると 芋蔓式に欠乏症状を見いだす可能性がある。不定愁訴の人は欠乏症状の宝庫かも知れない。我々は今、皮膚疾患や皮膚症状に注目しているが、後述する。 -
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