【論理的亜鉛補充療法の実践欄(症例を中心に)】
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倉澤 隆平
【亜鉛欠乏症の新掲示板の目的】の 【亜鉛欠乏症の臨床の現状】で述べた如く、日頃の診療でしばしば経験する亜鉛欠乏症の主要五大症状・疾患の内、①味覚障害については、すでに「亜鉛欠乏症と言えば味覚障害」と言うほど知れ渡り、④縟瘡や⑤皮膚疾患と亜鉛欠乏症との関係は主要の学会が無視を続けたり、まだ、その重要性に気が付かない状態であるが、治療経過を追う写真や映像を中心とした視覚に訴えるエビデンスから、その認知は、もう時間の問題と言ってよいと考える。しかし、②食欲不振、③舌痛症については、現実に亜鉛補充療法の効果を医療現場で経験しないと、その事実を実感出来ないこと、特にいわゆる舌痛症では、定義から舌や口腔内の局所の粘膜に肉眼的異常所見がなく、また、訴える舌や口腔内の痛みの性状や訴え方が一般的でなく、異様とも言え、患者と医療者間で共有できず、医療者に理解し難いこと、疾患が医科歯科の境界領域であり、かつ心理的、精神的な「気の問題」とされる等などのこともあり、その専門と称する大学・大病院の診療科でも、本腰を入れて研究・追及しているとは言い難い。むしろ、一症例、一症例を個として丁寧に追跡し、多くの症例からそれぞれ共通項・法則性を見つけ出す診療所的医療から舌痛症の実態に迫りうるのかも知れない。本掲示板では、⑥その他の亜鉛欠乏症をも含めるが、主として、この②③に絞って、補充療法の実践例を提示しながら。亜鉛欠乏症の実態に迫って行きたいと考えている。
それぞれの医療の現場からの症例提示・報告等など大歓迎です。いわゆる舌痛症は亜鉛欠乏症 倉澤 隆平【明かな原因のない、いわゆる舌痛症は、大部分亜鉛欠乏症である】
【難治性のいわゆる舌痛症の多くは常用薬剤、特に多剤服用症例である可能性が高い】
いわゆる舌痛症:肉眼的に特別の異常を認めないが、執拗に舌・口腔内の痛みを訴える疾患。
患者さんは、これまで歯科や医科の領域でその症状を患者・医療者間でなかなか共有されずに、奇妙な疾患として扱われる傾向があり、しばしば、精神的なもの、気の問題等などと言われて来た。現在も大部分が適当に扱われていると言って過言でない。しかし、このいわゆる舌痛症は、例外があることを否定はしないが、大部分が亜鉛欠乏症である。その亜鉛不足の原因は文明病ともいうべきものと筆者は考えている。この掲示板等などで徐々に明らかにして行こうと思う。薬剤の絡まない、原因の定かでないいわゆる舌痛症の多くは亜鉛欠乏症で、本症例のごとく、亜鉛補充療法に良く反応する。【K.Kさん】76歳 女性
【基本症病名】アフタ性口内炎、舌痛症、口内違和感、味覚障害
【初診】2022.09.**
【既往歴】これまで特別の疾患なく、特別の治療歴なし。
2021/04頃、舌の先端に痛みあり。舌尖の縁に赤い粘膜疹、数個認めた。、1~2月して、赤い周辺に白い中心の粘膜疹が1か月ほど続き、余り治らないので、K病院口腔外科受診、口内炎(悪いものでない)でうがい薬と不味い軟膏処方される。1ケ月治療したがあまり変わらないので、受診中止。2021/10に、口内炎治らずとT病院受診、なんとも言われず、漢方薬とサリベート処方されるが、変化なく、2週で中止。その後、粘膜疹、自然に治まる。2022/01頃、また、舌痛と発赤あり。2022/07、同様の症状でT病院受診、同じ漢方薬処方され、2週間で中止。09月初旬にはまた発赤・舌痛あり、友人に紹介され、当院受診。
【主訴 現病歴】初診時口唇の内側の発赤と痛み。舌のザラザラ感、すべらっこくない。
味覚がおかしいこと、甘いものはいいが、ショッパイもの、酸いもの、辛いもの、熱いものは駄目。舌痛の性状はいわゆる舌痛症と同じ、睡眠時なく、食事摂取可。
【薬剤;医療関係】薬剤、サプリメント等なし。舌痛を発症する特別の原因なし。【治療経過】
2022/09/** 初診時。本人は舌や下口唇内側の発赤というが、他覚的には特別の所見なし。
味覚障害や口腔内違和感は2021/04の口内炎発症の頃からと言う.ザラザラ感は舌の1/2前方にあると言う。
<治療計画>薬剤や偏食、疾患など特別のことなく、アフタ性口内炎、味覚障害など伴ういわゆる舌痛症であるので、初診時一般の血算、血液生化学に血清亜鉛値の検査をして、初診時(09/27)よりプロマックD75mg 2T 朝夕分にの標準的亜鉛補充療法を開始する。10/12 【投薬開始後、2週間前後で、原則としては処方薬の副作用の有無、及び初期の症状の変化を知ることと、亜鉛欠乏症とはどんな疾患で、どんな治療を行うか、欠乏症の場合の症状の変化と血清亜鉛値の変化は一般にどの様な経過を取るか?等などの教育啓蒙を行い、初期の血清亜鉛値の検査とキチッとしたプロマックの服用の大切さを教える。】 薬の副作用なし。10/10頃より下k口唇内側の発赤と痛みなくなった。口内違和感かなり軽くなったが、しょっぱいもの熱いもので痛くなること変わらず。食欲出て来た。
初診時の血清亜鉛値:66、 Al-P:88 症状経過と血清亜鉛値で欠乏症の可能性高い。10/26 亜鉛補充療法開始後約1か月の採血。舌の赤味はまだあると言う。初診時に、痛みのなかった舌尖の痛かったり、痛くなかったりの日が1/2=>1/3程になり、痛みの程度も1/3なった。食事の時以外に痛みを感じなくなった。ザラザラ感より軽く、食欲より食べられる様になった。Zn:86 Al-P:102 数年前から下腿の掻痒あり、=>ベビーローション
11/30 舌痛、発赤、ザラザラ感、酸いもの熱いもの問題な無なり、食欲も出て、下腿の掻痒もローションのためかなく、問題とすることなくなった。 Zn:96 Al-P:102
2023/01/25 舌痛をはじめザラザラ感や初診時訴えていた症状等全くなくなり、食欲は明かに増加したと言う。いわゆる舌痛症の治療としては、臨床的にはこれでいいのだが、この患者の本来の血清亜鉛値はどの程度なのか?原因見当たらずに発症した亜鉛欠乏症のその後の追跡のためもう暫く、追跡をすることに。いわゆる舌痛症は亜鉛欠乏症 倉澤 隆平日頃に常用薬の服用が無く発症の症例や特別に、亜鉛不足の原因となるものが見当たらない、いわゆる舌痛症(局所粘膜に肉眼的異常所見の無い)の大部分は亜鉛欠乏症であり、亜鉛補充療法で、容易に治癒すると述べて来ました。また、亜鉛不足を容易に発症し易い薬剤の常用症例でも、総てが難治ではなく、亜鉛補充療法で容易にその症状が軽快・治癒するものも多くある。常用薬剤による亜鉛不足の発症・難治化について別に述べます。
【常用薬剤有の舌痛症症例の軽快・治癒】について、提示する【TFさん 85歳】【初診:2022.08.10】
【既往歴】高血圧、高脂血症
【主訴・現病歴】舌痛 約1年前ごろより、月に1回(時に、2~3回)2~3日続く。口腔内のヒリヒリした痛み。右頬部内側から歯肉にかけて、径5cm程の範囲。口腔内の痛みは、就寝時なし、食事可能、何かに意識集中時、痛みを感じないなどいわゆる舌痛症的。その他食欲良、倦怠感や皮膚科症状なし。
【薬剤・医療関係】約10年前ごろより、ビブラスタチン、アムロジン服用。【コメント】口腔内痛が時々であること、舌でなく頬部から歯肉にかけての痛みである。食欲、皮膚症状など、その他の亜鉛欠乏症症状はないが、痛みの性状、パターン、常用服用薬が典型的な亜鉛欠乏症の易発症薬である。亜鉛欠乏症の可能性大として、採血検査をする。
【治療経過】
2022/08/10 初診で一般血算・血液検査と血清亜鉛値検査。口腔内に肉眼的異常所見なし。
08/24 2W後受診。初診時の一般検査は基準値内。Zn:79 Al-P:69。症状は亜鉛欠乏症の疑い強く、Zn:79と比較的高いが、亜鉛欠乏症として、プロマックによる標準の亜鉛補充療法を開始する。
09/21 補充療法開始し、特別の問題なく、これまでの口内痛ないと言う。たまにの発症であるので、採血、療法継続とする。亜鉛不足の場合では、急上昇の筈であると話をする。Zn:100(73)と上昇した。
10/26 2W前少し痛み短時間あった、それ以外問題なし。右肩部の掻痒+ Zn:135(73)
11/21 その後、口腔内痛は発症せず。その他に特別の変化なし、採血で Zn:135(80)
2023/01/25 大雪で受診不可であったが、その後、舌痛の発症なし。【コメント】舌痛症としてはやや典型的ではないが、症状の経過、血清亜鉛値の動きで、いわゆる舌痛症で良い。血清亜鉛値のやや高い傾向は、固有のものか?又は、薬剤性のためか?っ血清亜鉛値の変動から、比較的はやく補充が完了したものかもしれない。臨床的には、もう暫く追跡をして、本来の個の血清亜鉛値がどの程度か確認するのが良い。
【血清亜鉛値の変動】Zn:79(69)08/10=>100(73)09/21=>135(73)10/26=>135(80)11/21=>??TeaCup掲示板掲載例の再搭載 倉澤 隆平【特別の原因が見当たらない亜鉛欠乏の舌痛症】
TeaCup掲示板;2021/11/21 【舌痛症:わたしの亜鉛補充療法の実践】①の再掲
<TeaCup掲示板の2021/11/21の【舌痛症:わたしの亜鉛補充療法の実践】シリーズ①から2022/05/31まで同シリーズ⑫と症例を載せてきた。中断となったもので、PDFファイルに保存してあり、ダウンロード可能です。今回は内容を一部追加修正・再掲載としました。
【舌痛症:わたしの亜鉛補充療法の実践】① 投稿者: 倉澤隆平 投稿日: 2021年11月21日(日)16時11分27秒
【K.Eさん】 43歳女性 医療関係者 【初診】 2020/07/06
【基本症病名】舌痛症 口腔内違和感 味覚障害疑い 亜鉛欠乏症
【既往歴】ブタクサによる花粉症 2016/03/:** 職場で試みの血清亜鉛値測定 < Zn:61 >
【主訴 現病歴】約ーケ月半ほど前から、口唇と舌にしびれ感とピリピリした火傷の様な滲みる痛み、口内のショッパイ感じと渋柿を食べた様な感じある。肉眼的異常所見なし
2020/06/24 <Zn:70>であり 06/29よりプロマックD75 2錠/朝夕分2の標準的亜鉛補充療法が開始され、また、最近、漠方薬の服薬も始めた。しかし、効果なく、心配となり受診。
【薬・医療関係】特別の医療なし、常用薬物なし。ただ、鎮痛剤使用と 2020.02~03歯科受診。親知らず抜去、門歯の処置あり。血算・血液生化学に特別のことなし。
【食事関係】偏食、ダイエット等なし。味噌汁の味が薄いと家族の評価。
【治療経過】
2020/07/06 症状、所見は舌痛症でよく、既に亜鉛補充が開始されているので継続とする。
2020/07/20ピリピリした火傷の様な口内の痛み、口唇内側のしびれ感、補充療法後にも,全く変わらずと心配している。漢方薬中止のこと、他の薬剤の服用のないことを再確認。プロマックによる亜鉛補充療法継続とする。血清亜鉛値は、<Zn:85>予測通り上昇。
味覚検査:バラバラで、塩味薄い濃度でも反応する。
2020/08/24 08/09~08/16の休日は、痛みとしびれ感、初診時の1/2程度に軽減。舌痛は日と時間で変化。一定の傾向はない。しかし、全体として軽くなった。ショッパイ感じはやや増強。しかし、口内の酸っぱい、苦みの感じはなくなった。熱いものの滲みる感じも比較的軽くなり、渋柿を噛んだ様な感じもなくなった。食欲は病初とより食慾良。わさび、カレー、みかん問題なし。<Zn : 90> 血清亜鉛値の変動・推移は予測の通り。
2020/10/12 症状殆んど気にならなくなる。ほとんどの時、忘れている。09月初め頃より舌の症状が殆んどなくなる。口唇にシビレとショッパイ感じはまだある。
2020/12/07 舌. 口腔内の症状とも全く気にならなくなる。発症を機とし、個人の健常時の血清亜鉛濃度を探る試みをすることにする。 <Zn:73> この値?服用を忘れているか?
2021/02/08 舌痛他問題の症状全くなく、困ったことなし。プロマックの服用時々忘れる。キチッと真面目にーヶ月補充療法をし、血清亜鉛値の測定をする。本日は <Zn:75>
2021/03/08花粉症はあるが、舌痛はじめ今回の口腔内違和感など全くなし。補充療法をーケ月キチッとして来たと言うので測定。<Zn:88>
医療関係者で、病態をよく理解しているので、今回はここで中止した。
【血清亜鉛の推移】
Zn:61(2016/03)<=>70(発症2020/06/24 06/29補充開始)=>85(07/20)=>90(08/24)=>***(10/12非測定)=>73(12/07)75(2021/02/08)=>88(03/08)
【コメント】
特別これが亜鉛不足の原因と推定させるものは存在しない症例、また、亜鉛欠乏症以外に舌痛を発症させる可能性のある明らかな問題点が存在しない症例でもある。逆に、一般的に異様な訴えの舌痛症状以外に亜鉛欠乏症に特徴的な異様な口腔内症状を併せ持つこの症例は亜鉛欠乏症である。亜鉛の適切な補充をすれば、諸症状は治癒する筈であり、亜鉛補充療法により典型的な亜鉛欠乏症のほぼ同様の血清亜鉛濃度の推移をし、治癒した症例。
長野県の東信地区。流石に舌痛症は亜鉛欠乏症と知られ、適切な血清亜鉛値測定と補充療法が開始されたが、その効果が直ぐ現れなかったため、当院を受診したものである。
知識と経験があれば、何処でも充分に治療可能で、病院である必要も、全くない。倉澤隆平 多剤服用症例の舌痛症【T.Kさん 79歳 女性】 【初診】2021.09.06.
【基本症病名】 舌痛症、他高脂血症、高血圧、骨粗鬆症等々、緑内障
【既往歴】高脂血症、高血圧、骨粗鬆症、逆流性食道炎、脊椎狭窄症等々
上記疾病等で、某医療センター、某院、医院等々で投薬を受けていた。
6年余前にピリピリする舌痛、口腔内違和感で、漢方薬、塗り薬、うがい薬2~3ケ月治療。
【医療・薬剤関係】リピトール、アムロジン、ラロキシフェン、ネキシチウム、モサプリド、アルプラゾラム、リリカ等など
【主訴・現病歴】
2021/03 頃から、舌痛と口唇ががピリピリする感じ。舌尖、舌の両側の痛み、義歯によるかと某医療センター口腔外科受診、「何でもない。気にするな」と言われる。
舌痛は何かやっている時は忘れている。時間による痛さの変化なし。舌。口腔内に所見なし。
【食事関係】食欲あり、まあまあおいしい。皮膚掻痒、皮疹なし。
【治療経過】
2021/09/06 多剤服用患者。舌痛の発症と医療の経過、舌痛の性状及び局所所見等などより、多剤服用によるいわゆる舌痛症である可能性が高い。Znを含む、血算・生化学検査用の採血。遠方よりの受診でもあり、初日からプロマックD75 2T分2による標準的亜鉛補充療法を開始。
09/15 亜鉛補充療法の副作用なし。舌尖の痛み軽くなった感じ。夜間起きた時の舌の感じ楽になった。初診時<Zn:84> 血算・生化学は何れも基準値内。
多剤服用のまま、亜鉛補充療法の効果はある。ただ、不要薬剤は出来る限り減を!!
10/06 プロマック服用から夜間に上腹部痛あり、服用中止。<Zn:72>
10/07胃の検査後から治療を再開したいと言う。
10/11 その後腹痛なく、09/15よりも舌尖、右側の舌痛は、5/10程度とだいぶ楽になった。
11/17 舌両側の痛みなく、舌尖には残る。3/10レベルになる。<Zn:88>
12/15 舌痛は舌尖のみに、2/10程度に。昼間は楽で忘れる時多くなる。<Zn:107> 骨粗鬆症の薬、リリカもやめた。
22/01/19 舌の痛みはまだ舌尖だけにあるが、12月より少し良くなった。 <Zn:136>
03/30 舌痛は忘れて、現在困らない。不用な薬出来るだけ整理してもらって、<Zn:98>
05/25 困ったことなし。服薬:アルトバスタチン、エゼチミブ、アムロジン、ネキシチウム、アルプラゾラム、
葛根湯、眼科点眼薬。多剤服用患者であるが、プロマック2T投与で舌痛は治まってる。
維持量として、どこまでか、検討する。プロマックD75 2T=>1Tにして追跡。<Zn:103>
07/27 舌は大丈夫、舌尖偶に。口周りがピリピリがあり。朝起きた時に気になる。
味覚、食欲、皮膚共に困ったことなし。 <Zn:82>
09/21 舌尖の痛みありと。PPI暫く飲まないでいる。<Zn:85>
プロマックD751Tで維持は不足の様である。
11/16 舌尖と舌の両側中央よりに徐々に出て来た。痛みがするなアー程度だが、睡眠、食事中、運動中は忘れているが、毎日痛みを感ずる。
PPIは常用であること止めていると言う。<Zn:87> やはり、プロマック1Tでは維持しきれない様である。 プロマックD75 1T=>2Tにする。
23/01/11 プロマックが 2Tになってだいぶ違う。舌の真ん中あたりの痛み残っているが、軽くなった。
【コメント】
医療センター、病院、診療所等、多医療機関受診の多剤服用患者の舌痛症。幸い、標準の亜鉛補充療法で舌痛症は比較的容易にコントロールされ、血清亜鉛値の変動もあるが、血清亜鉛値は比較的高めであり、プロマックD751T(Zn量 17mg)では維持できず。
多医療機関受診が主医療機関に統一され、主治医と患者の関係良好なので、全身状態は主医療機関で、さらに可能な薬剤の整理を含めコントロール。舌痛症について、もう暫く追跡
【血清亜鉛値の変動】
Zn:84(初診)=>77=>88=>107=>136=>98=.103(05/25). P2T=>1T=>82(07/27)=>85(09/21)=>87(11/16)(P:1T=>2T)=>**(23/01/11=>亜鉛欠乏症と薬剤。だが、しかし! 倉澤隆平【亜鉛とキレート作用や化学反応を生じやすい多くの薬剤がある】
【亜鉛製剤との併用・処方に注意すべき多くの薬剤がある】幸いなことに、今回提示した【K.Kさん】【T.Fさん】【K.Eさん】【T.Kさん】の4名のいわゆる(局所所見の無い)舌痛症例は、一応、初診時の舌痛+αの欠乏症状は治癒、または再発があろうとも、今後の亜鉛欠乏の医療、如何にするかの目鼻が着いた症例と言える。
勿論、これまでの舌痛症症例中に、種々の理由により治療を完結出来ない症例もあるが、少数の特殊な例外はあろうとも、【舌痛症は亜鉛欠乏症である】と言ってよく、欠乏症であるから、安全・安価で、且つ容易な亜鉛補充療法で、大部分の舌痛症は治癒せしめ得る。いわゆる舌痛症を真菌症や心療内科的なもの、精神的なもの等、【気の問題】と片づける前に、血清亜鉛濃度の変動・推移を追跡するキチッとした亜鉛補充療法をすべきである。ただ、一部の難治化するいわゆる舌痛症の発症・難治の主要な原因は常用・連用薬剤、特に、多剤処方例にあると言ってよいと考えるが、亜鉛のキレート作用や化学反応による亜鉛欠乏症発症の可能性のある薬剤(化学物質)は多くの医師や薬剤師、薬学者等々や社会が考えているよりも遥かに多く、現実に、亜鉛欠乏症の診療に大きな影響があることに、筆者(倉澤)は驚いている。
本掲示板を通して、徐々に明かにして行こうと考え、ここに、その資料を提示して置く。
【旧掲示板(TeaCup)のPDFファイル】の<投稿日: 2022年 4月 2日(土)>
亜鉛欠乏症を起こす可能性のある薬剤(その 2) ~舌痛症に関連して~
亜鉛欠乏症を起こす可能性のある薬剤(その 1) ~舌痛症に関連して~
をPDFファイルをダウンロードして、上記の年月日の所を参照していただきたい。
この資料は、『味覚障害の全貌』冨田 寛 日本大学名誉教授 著 診断と治療社
<味覚障害の原因別分類 C,薬剤性味覚障害 表4 味覚障害を起こす薬剤>
P316-345 から抜粋の、表4 味覚障害を起こす薬剤 に一部手を加えたものである。
(日本において、長期間に渡り味覚障害を主に、亜鉛欠乏症の臨床と研究をされて来られた冨田先生が味覚障害の臨床の現場で経験したり、文献と合わせて確認したものの一部である。味覚障害を起こす可能性が、総て、亜鉛と関連しているとは言えないが、大部分が亜鉛キレート能が確認されたり、自験例に基ずくものであることは重い事実である。)ただしかし、亜鉛とのキレート作用や化学反応等により味覚障害を起こす薬剤と言っても、ヒトの生体内の反応で、極稀なものから、可なりの頻度がありそうな薬剤まであり、まだまだ、全く判っていないと言ってよく、臨床の現場で事実を集積する段階である。
ただ、臨床の現場では、特に、舌痛症の様に診断・治療の仕方を探っている場合には、その薬剤と亜鉛との関係を常に頭において、対応する必要がある。疑い連用薬剤の一時中断試行した症例。 倉澤隆平【亜鉛欠乏症発症と難治化の可能性のある薬剤(骨粗鬆症予防)の一時的中断の試行例】
【W.S. 67歳】【舌痛症 口腔内違和感 骨粗鬆症】【初診 2008/12//02】
2008/12/02 4~5前頃から舌が滲みる。辛いもの、熱いものダメ。舌が厚ぼったい。ガサガサ感と滲みる感じが次第に憎悪。Zn:72 Al-P:273 08/12/03より標準的補充療法開始。09/01/14 Zn:82 Al-P:278 舌が滲みるの変動し、口内の感じ余り変わらず。受診中止。2015/12/02 舌が滲みる。ガサガサ強く、咽頭違和感。食欲良。皮膚良。Zn:57 Al-P:191 数か月前から、症状発症。初診日より、補充療法開始。
16/01/13 舌の滲み、熱いもの、辛いものでなければ良。 Zn:105 Aj-P:196
16/02/17 ガサガサ感変わらず。熱いもの、辛いもの駄目. Zn:113 Al-P:206
16/03/23 舌の滲みるの軽快。熱い味噌汁の味見可、辛いものは駄目。
16/04/01 便秘でP薬中止。舌の滲み続き、口内違和感、辛味、ショッパイ感じでて、
16/05/18 Zn:69 Al-P:187
16/06/10 滲みる舌痛もまだ、りんごもミカンも滲みる。辛いもの熱いもの駄目も続く。
16/06/10 症状も、血清亜鉛値の変動も燻り、疑われる骨粗鬆症予防薬を半年間の中止とする。
16/07/13 Zn:71 Al-P:175 プロマック仕切り直しで再開し、継続する。。
16/08/10 舌熱いもの、辛いものはまだ滲みる。
16/09/14 Zn:98 Al-P:181 舌通軽快。りんごの味も良くなって、症状軽快。
16/10/19 Zn:78 Al-P:200 味は良くなり、果物安心して食べられ、滲みること気にならず。
16/11/28 舌の滲みるの治っている。2016/12/04 で、 亜鉛補充療法の受療を中止。17/11/08 Zn:73 Al-P:212 滲みる舌痛と熱い辛い、塩気が駄目の口内症状と皮膚掻痒。
17/12/04 Zn:89 Al-P:224 口内の粘々強い。
18/01/10 Zn:91 Al-P:199 味は良くなったが、熱いの辛いもの滲みる。食欲良。
18/05/09 03/10で、味覚障害がないので亜鉛は中止していると言う。受療終了。【コメント】繰り返し、繰り返し滲みる様な舌痛や口腔内症状、掻痒など亜鉛欠乏症状を呈して、受診。亜鉛補充療法で、血清亜鉛値の変動に比し症状も燻り、発症・難治化の疑い薬剤の6ヶ月間一時中止を試行して、軽快治癒した。しかし、問題の薬剤を除くこと出来ず、再発、燻る症例。
多剤服用患者の掻痒・皮膚疹の経過。 倉澤隆平【多剤服用患者の掻痒・皮膚疹の経過2013/08~2016/06】
症例は、初診時88歳の女性です。2013/08から2016/06の難治皮膚症例の経過です。
某大総合病院から、ベイスン、グリミクロン、メトグルコ、アダラート、ディオバン、リピトール、エピスタ、アリセプト、アリビットの9種類の投薬を受け、『全身状態は安定している』と、紹介された患者さんでした。
確かに、一般の検査値はおよそ基準値内でしたが、初診時、『体中痒くて困る。何時までも生きていたくない。』とのこと。
体中、掻爬痕だらけでした。
下記のURLから検索を!
亜鉛欠乏症のホームページ 症例集 皮膚科疾患 症例5 多剤服用患者血清亜鉛値:118㎍/dLのいわゆる舌痛症 倉澤 隆平血清亜鉛値:118㎍/dLのいわゆる舌痛症 倉澤 隆平
【S.Y.さん 51歳 女性】【初診:2021.11.12】
【既往歴】心室期外収縮、うつ症状? 繰り返すいわゆる舌痛症
2009/12 心室期外収縮があって、2週ほどの入院。以後、安定剤等の服薬あり。
2010/04 頃より口内の荒れを生ず。舌痛症としてM病院紹介され、Zn値:65で、プロマックの処方を受け、10/07/02 当院に紹介される。服用薬剤:ソラナックス、ロヒプノール、ハルシオン、デジレル。初診時Zn値:96。プロマック2錠/分2の亜鉛補充療法。10//09/27に軽快受診中止。Zn:88。
2014/04/05 ほぼ同様の舌痛あり、受診。1ケ月のプロマック処方で、M病院で治療。
その他、これまでに何回か軽い舌痛あり、歯科でうがい薬など受けたという。
【主訴・現病歴】舌痛症
2021/08頃から、舌全体の舌痛とザラザラ感再発した。舌周辺に歯型が付いていることも気になっている。痛みはヒリヒリと焼けるような痛みで、朝起きると感じ始め、舌痛の強さは変動し、バラバラである。睡眠時の痛みなく、食事の摂取も可能で、食事時や何かに集中している時は痛みを忘れている。味覚障害はない。食事の酸っぱさ、塩辛さ、温・冷等は気にならず。食欲良。皮膚症状なし、舌に肉眼的異常所見を認めず。
【服用薬剤】ソラナックス1/2錠:約10年余 服用止めると過呼吸になると言う。朝鮮人参:6年前より更年期障害としてサプリメント服用していると言う。
【治療経過】
2021/11/17 初診時血清亜鉛値を含む一般血算・生化学検査:Zn値:118㎍/dL以外に特別のことなし。治療として亜鉛補充療法がないのにこの血清亜鉛値は疑問点!!であるが、初診時Zn値のデータはまだ未着だが、これまでの舌痛症の経歴、亜鉛補充療法の経過を本人も診療所とも共有しているので、基準的亜鉛補充療法プロマック2T/分2処方を開始。
<コメント>一般に初診の場合は、亜鉛欠乏症の疑いがよほど強くなければ、初診時の血清亜鉛値等々の検査をし、そのデータを含め疑いが強ければ、標準的亜鉛補充療法へと移行するが、本症例は既往歴、現病の症状・経過より舌痛症間違いなく、補充を開始した。
ただ、後日、初診時血清亜鉛値のデータが全く予測に反していた。=>疑義検討欄で考察
2021/12/15 プロマック服用2日目には舌痛も、ザラザラ感もなくなって問題なしと言う。
Zn値:139㎍/dL 確かにこれまでに比して血清亜鉛値は高値である。朝鮮人参が問題か?
2022/02/16 1月は舌痛も、ザラザラ感もなかったが、2月に入って、2日、3日ごろから
日々変わる舌側面などのヒリヒリ、ザラザラ感が出て来た。食欲あり。Zn値:111㎍/dL。
舌痛症の治療ではぶり返すことは普通であるが、これまでの経過から見ては亜鉛値が??サプリメントの朝鮮人参とは高麗人参・云々のかなりの亜鉛含有のものであった。兎に角、現時点では、この患者さんには不要なので、中止することにした。
2022/03/16 2月初旬のヒリヒリ、ザラザラ感は4~5日で、痛みは治まり違和感は残っていたが、22/03/05 頃からまた痛みが再発、昨日は酷く、うがい薬で軽快したと言う。Znt値:138。
2022/04/27 前回受診後、1週間程は同様の痛みが続いたが、その後ピタッと舌痛は治まり、その後何の問題もないと言う。Zn値:104 ㎍/dLであった。
プロマック2錠/分2x60日処方の投与を受けて、再診せず。 これまでの治療癖より、今回の症状は軽快・治癒したものとした。併用・連用薬剤による血清亜鉛値の変動 倉澤 隆平㊿【K.R.さん】【女性 86歳】【初診2023/04/**】
【コメント】
食欲減、舌痛、舌炎? 血清低亜鉛値傾向から併用・連用薬との反応による血清Zn値上昇の例。
【既往歴及び使用薬剤について】
2015/04/22 Zn:61(193)。2016/04/04 Zn:67(220)。 2017/04/24 Zn:65(241)。11/20 Zn:62(242)等と、元来小食でやせ型の方である。食事は美味しく、田畑の仕事に従事して、特に困ったことなしと言う。長年一般外来で、特別の投薬なく、時々、不眠に対して、デパスの処方を受けていた。
【2018年、舌痛症で亜鉛補充療法治療】
18/03/12 食べ過ぎたり間食が過ぎると舌尖に痛み、表皮内出血もあり=>これまでの血清亜鉛値低値もあり、試みに、プロマックの標準的補充療法を開始したところ舌痛発症せず、安心して食べられる様になったとのこと。
18/04/16 Zn:69(236)、血清亜鉛値低値であること確認。しばらく、血清亜鉛値の追跡をする。
18/05/14 Zn;80(258)、舌痛の発症なく、安心して食べられること嬉しい。表皮内出血なし。
18/10/17 担当医の変更があり、P:2T/2~の標準的処方は継続された。症状の記載なし。
18/11/21 Zn:81(232)、P:2T/2からP:1T/1に減量して、30日の処方して、補充療法は中止となる。
【その後の外来診療】
これまで血清亜鉛低値傾向であったが、2019年以後は特別の症状なく、経過を見られていた。
22/02/09 不眠、骨粗鬆症、高血圧、ミルタックス。【薬剤】アルファロール、アムロジン、デパス、デビエゴ。
22/05/11 デビエゴ抜け、 血圧は140~150/70~80レベルでコントロールされていた。
22/08/10 上記薬剤に+牛車腎気丸エキスが追加され、現在に至る。
【今回受診時服用の薬剤】アルファロール、アムロジン、デパス、牛車腎気丸エエキス。
【2023年、今回の主訴及び症状】
以前から小食ではあったが、最近、より食べられなくなった。現在:米5勺、昼パン1枚(6枚キリ)、夜米5勺。酒:5勺。以前は間食あったが、現在は食べると次の食事摂れない。食べ過ぎると舌が割れて血が滲む。舌割れなければ痛みなし。アフタ性口内炎(ー)、口角炎(ー)、舌の違和感のザラザラ、ガザガサ感等はない。皮膚も特別のことなし。爪の硬度減。
【診療経過】
23/04/12 高血圧症や骨粗鬆症で通院中であったが、急激な食欲不振で受診。血清亜鉛値等検査。
Zn:75(95) R:462 Hb:13.3 Alb:4.1
23/04/17 元来、やせ型の女性。舌割れ血が滲むことあり、舌痛もあると言うが初診時は舌普通で、肉眼的異常所見なし。皮膚まずまず。 爪の変形はないが硬度(軟)、P:2T/2~の標準的亜鉛補充療法を開始。
23/04/26 プロマック服用で困った問題はなし。安心したのか体調は良い。舌の割れなし。食欲は不変である。
23/05/15 Zn:91(92)、食欲それ程変わらず。舌の痛みなし。補充療法約1ヶ月で血清亜鉛値典型的に増。
23/06/14 舌痛なし。空腹感出てくる。米飯は飯茶碗軽く一杯で、日3杯に。お茶の摂取も可能となる。
23/07/12 Zn:102(87)、食事普通に食べられる。昔から時々あった舌割れ、痛み、出血、食事制限、現在なし。
23/08/16 Zn:81(85)、舌痛なく、食事とれ、困ったことなし。 体重34kgで増を望むと!
23/09/13 Zn:85(94)、舌、口腔症状問題なし。体重:700g増で、間食も可能になったと歓ぶ。
整形外科、高血圧症等の薬剤投与もあるので、血清Zn値等は2ヶ月間隔程度で追跡する。
23/11/08 Zn88(97)、P:2T/2~の処方開始以来、舌の割れを含む口内炎・舌痛なく、食欲も普通である。
体重もほぼ35kgで、調子よい。検査データ変動しているのでもう少し追跡。
24/01/10 Zn:91(98)、調子よい。口内炎・舌痛もない。食事も一定に食し、間食も付き合いを含め可能である。
高血圧、骨粗鬆症の治療で、血清亜鉛値等は85~95(90~100)レベルで安定か?。
【Zn(Al-P)等の検査データ歴(今回の初診まで)】
Zn:61(193)(15/04/22)<=>67(220)(16/04/04)<=>65(241)(17/04/24)<=>62(242)(17/11/20)<=>
①Zn:**(18/03/12-P:2T/2~)=>69(236)(18/04/16) =>80(258)(05/14)=>81(232)(18/11/21-P:2T->P:1T/1×30終了)<=②<整形外科等の診療><=>71(223)(19/05/20)=>76(269)(20/04/06)=>アルファロール(10/02~)=> 91(285)(21/02/03)=>アルファロール+アムロジン(21/12/15~)<=>③Zn:75(95)(23/04/12->04/17-P:2T/2~)
【Zn(Al-P)等の検査データ(今回の初診以後)】
Zn:75(95)(23/04/12->04/17-P:2T/2~)=>91(92)(05/15)=>90(93)(06/14)=>102(87)(07/12)=>81(85)(08/16)=>85(94)(09/13)=>88(97)(11/08)=>91(98)(24/01/10)=>**(**)(03/13)
2018年頃はZn値:60レベル=>70~80レベルであった。今回は70レベル=>80~90レベルか?追跡。PPIの連用で容易に亜鉛欠乏を発症する人も 倉澤隆平【N Nさん】 1950.07.12.生 女性
【基本傷病名】舌痛症 亜鉛欠乏症 食欲不振 味覚障害 不眠症
【初診】2021.07.07.
【既往歴】2015年頃まではOK.
3年程前からアフタ性口内炎、口角炎がしばしば発症している。
2年程前頃までは胃については自信があった。最近胃がおかしい、むかむかした感じのことあり。=>内視鏡=>逆流性食道炎?その後歯科で地図状舌発見された。2020年頃から【亜鉛欠乏症状】食欲減、舌痛症、味覚障害、口内の苦み(口腔内違和感)、口内炎、口角炎。
舌痛:火傷をしたような舌のヒリヒリしたような痛み。【主訴・現病歴】
2020.01 胃がおかしい。むかむかする感じ(つわり様)、食欲が落ちた(米飯1/2に減)。
内視鏡で胃粘膜の萎縮、逆流性食道炎?で=>ガスモチン1Tの処方=>舌痛発症し、ガスモチンをタケプロンンに変更するも、症状は軽快せず。『この病気は治らない。もっと酷い人も沢山いる』と告げられた。
2020.04~09 地図状舌であること判明、うがい薬の投与。Zn:70であった。2.5か月間程の期間プロマック服用。
2021.01 タケキャブ 1Tを追加投与される。
体重:64kg=>56.4kg 皮膚掻痒感などなし。【医療・薬剤】 タケキャブ1T、ガスモチン3T、マイスリー1T、ビタミンB群(昔から) 胃内視鏡
【診療経過】
2021.07.07 舌のひりひり感は火傷をした様なひりひり感。酸っぱいもの、ショッパイものが滲みる。熱いものもダメ。味は判る。ミカンなど柑橘類、今年の正月より食べず。コーヒーだめ。息子は味が薄いと言う。肉眼所見:舌確かに地図状の舌状態である。初診時の血算・血液生化学・Zn検査。
症状、経過より(アフタ性口内炎、口角炎、胃もたれ様症状、食欲不振、舌痛、口腔内違和感、味覚障害等々)、亜鉛欠乏症であること間違いなく、初診より、基本の亜鉛補充療法を再開する。
『タケキャブ、ガスモチン不要なら中止を!タケキャブは亜鉛不足に関係あり』と話す。
<Zn:78 Al-P:65>(07.07の初診時採血データ)
2021.08.04 プロマックを服用して、特に問題なし。これまで常時ヒリヒリしていたのが、減少し、3週間過ぎから、あまり気にならなくなった。舌に斑点(地図状舌)、そこが痛かったが、減少して来た。
刺激あるものは食べないようにしている。米飯、刺身、肉類美味しくない。食欲減、未だ替わらず。
07/12~07/18にアフタ性口内炎発症・治癒、以後発症なし。口角炎プロマック服用後発症なし。
体重:57kgに。味覚検査は検査:まあまあか?
<Zn:101 Al-P:63>
2021.09.01 タケキャブ、モサプリドは中止して、特別の問題なし。もやもや感、もたれ感なし。
食慾が出てきた。割と何でも食べられる様になってきた。米飯の味も普通になってきたし、刺身、肉も食べてみたいと思うようになって来た。口内の苦み軽くなった。梅酢、ミカンはまだ食べない。地図状舌はきれいになった。 口内炎、今月は発症せず。舌痛もない。
<Zn:107 Al-P:61>
2021.10.06 口角炎、先月少し発症したが、すぐ治癒。アフタ性口内炎はこの2ケ月発症せず。現在服用薬はプロマック+マイスリーのみ、食欲出て、ご飯の味が出て美味しくなり、体重1kg増加。皮膚も艶が出てきた感じ。
2021.11.17 舌痛他の諸症状すべてなくなった。ビール、カレーはまだ食べず。ミカン、梅酢は、まだだめ、酢の酸っぱさはOK。コーヒーは少し飲めるようになった。
プロマックをどの様に減量すべきか?
<Zn:111 Al-P:70>
2022.01.12 舌痛殆んど良い。胃の薬不要。おもちも食べられ、普通の食事で回りも良く食べると言う。体重:58kg。みかん食べられた。カレーもあまり辛くなければ可。プロマック服用時々忘れる。舌苔なく、きれい。
<Zn: 111 Al-P>
2022.03.02 2月中旬、チョット口角炎になったが、その他には舌痛は勿論、口腔内の問題なし。これまでの胃腸の不調もなし。
「舌痛症、なかなか治らないと言われていた。どうしてなのか、心配で、心配で。胃の具合が悪いのか、と思っていた。本当に良かった。皮膚も良くなったし、ズーと服用していたい」
『もうそろそろ治療は終了でもよいが、最初に何故亜鉛不足となったかの検討は必要。』ただ、『これだけの経験をしたので、治療法も理解できたでしょうから、一度プロマックをやめてみるのもいいのでは!!症状が出てきたらまた補充すればよい。』 と補充療法を終了することに。
【2022/03/22後】
03/22 舌痛症治癒、口角炎の発症なくなり、肌もよくなり、プロマック75-P:2T/2の2ヶ月分の投薬を受けて、治療完了後
22/09/14 再診。口内の痛みはないが、1~2回程口内の渋み、苦みあり、地図状舌となり処方のプロマック服用軽快したがと受診。
Zn:88(64)(09/14-P:1T/1~)=>101(66)(11/07-P2T/2~)と補充療法を開始。
22/11/07 プロマック2錠分2(P:2T/2~)の方が良い感じとのことで2錠/日で経過を見ることにする。
23/01/11 P:2T/2~になって、口内全く問題なし、口内炎口角炎発症なし。マイスリー1/2は 毎日やむなし。
プロマックは近医で必要に応じて処方を受けることとした。 その後問題なし。【コメント】
亜鉛欠乏症による舌痛症はじめ多くの典型的な多彩な亜鉛欠乏症症状を合併した症例。幸い、種々雑多な薬剤で治療されていなかったので、典型的な吸収阻害作用のあるPPIの除去と亜鉛補充療法で容易に症状を改善することが出来た。ただ、PPI使用までの口内炎や口角炎の発症の亜鉛不足が何故生じたかの検討が必要。マイスリーの可能性あるが、、、まあ、やむなし。原因不明であるいわゆる舌痛症の治療は容易? 倉澤【M.J.さん 53歳 女性】 【初診 2021/10/20】
【コメント】
歯科の治療後発症し、6ヶ月余続いたいわゆる舌痛症。これと言って特別の原因が認められない亜鉛欠乏による舌痛症である。舌痛の性状がいわゆる舌痛症に典型的なものなので、初診時の血清亜鉛値測定の採血後より、標準的亜鉛補充療法を開始した症例。
定かな原因が不明のいわゆる舌痛症の大部分は(キッと食が原因の)単純な亜鉛欠乏症で、普通の亜鉛補充療法で容易に治癒する様に思われる。【基本傷病名】舌痛症 味覚障害 亜鉛欠乏症
【初診】2021/10/20
【既往歴】特別のことなし
【主訴主訴及び現病歴】
【亜鉛欠乏症状】舌痛 味覚障害、
約6ケ月ほど前、歯科の治療後に治療した辺りの左側舌の痛みに気付く、
現在、辛い大根おろしを食べた後の様な口内全体がひりひりした感じと左側舌の同様のより強い痛みである。食べている時は痛くない。食事普通に食べ、食欲あり。寝てる時は痛くなく眠れる。朝起きた時は痛みなし、起床後2時間ほどして痛み出現、夕刻に向かって痛み増強する。仕事をしている時は忘れている。テレビを見ている時などに痛みを気にすると痛い。
この6か月間、痛みの程度は変動があるが、全体としては大きく変わらず。ストレスとなっている。
しょっぱいもの、辛いもの全体的に駄目。カレーは余り作らなくなった。みかんは好きであったが、今シーズンは食べていない。熱いもの最近は飲まない。熱いコーヒー前は好きであったが、今はぬるいものを飲む。塩気、家人は味噌汁に味噌を足してる。調理師だが、調理に自信がない。
【薬剤等】
<食事>偏食。ダイエットなし。<薬剤>歯科で治療中、鎮痛剤、うがい程度。常用薬剤なし。
<舌に肉眼的異常所見なし>【治療と経過】
2021.10.20 初診。 これまでに経験して来た大部分の”いわゆる舌痛症”の典型的な痛みの性状
であるので、一応血算・一般的血液生化学検査と初診時の血清亜鉛濃度検査をし、初診時からプロマック75D 2T分2の標準的亜鉛補充療法を開始した。
初診時Zn:84(53) <=>検査結果後日判明。
2021/11/01 亜鉛補充療法を開始、約2Wの受診。プロマック服用で困ったことは生じない。
2021/11/17 Zn:120(54) 補充療法開始後約1ケ月後の血清亜鉛値及びAl-P値である。
亜鉛欠乏症例の補充療法後の血清亜鉛値のパターン通りで、亜鉛値が急激に上昇している。
2021/12/01 初診時ピリピリ、ヒリヒリと表現した痛みは軽快。07~08/10程度になった。夕刻に、向かい増強していた痛み、増加はあるが、軽くなっている。食欲変わらず。起床時の口喝はある。2022/01/12 Zn:121(53) その後、未だに口内のピリピリはあるが、最初の頃に比して半分になって、楽になった感じがする。口内全体の痛みが舌の真ん中ぐらいの範囲になった。口内全体、口唇の痛み消失した。夕刻に憎悪はなく、一定の感じ。しょっぱいもの、辛いもの昔は好きであったが、ミカンはまだ試してない。りんごは前から美味しい。熱いコーヒーはまだ駄目。
特殊な原因による亜鉛欠乏症でないと想定。 方向は決まったので、おおらかに治療をしよう。
2022/03/16 Zn:82(50) 辛いもの食べて大丈夫。熱いコーヒーはまだ駄目。カレーは良い。
未だ、舌の左側面の一部にピリピリすることあり、日常的には困らない。そろそろ、卒業?か。
2022/05/11 Zn:100(51) その後、殆んどのことは良い。カレーも良い。05/05日パイナップルを食べて口内ピリピリして、4日程、変な感じが続いたが、舌側面のピリピリ感も良い。
プロマック60日分処方して、問題があれば再受診のこと。 その後受診なく治癒と考えられる。白板症と舌痛症も薬剤による?亜鉛欠乏だった PDFより【舌痛症:わたしの亜鉛補充療法の実践】⑥ 投稿者: 倉澤隆平 投稿日: 2021年12月14日(火)
【コメント】『いわゆる舌痛症は亜鉛欠乏症である!!』安価で安全、且つ容易な亜鉛補充療法で治癒するが、一部の難治性舌痛症の原因のトリガーに多くの薬剤があること判ってきた。どの様に補充療法をするのか? !【K.M.さん①】【K.M.さん②】はそんな一連の初発時、再発時の症例の一つである。2015年当時、舌痛症治療について、多くの未知の状況の中の初発時の治療経過である。
【K.M.さん①】 64歳女性
【基本症病名】口腔内白板症、口腔内扁平苔癬?、舌痛症、口腔内違和感、亜鉛欠乏症、薬剤
【初診】 2015.11.18
【主訴・現病歴】 2015.05左側の舌に発赤の斑があり、びりびりした痛みがあることに気が付いた。
2015.06.24 Y耳鼻科受診し、白板症か? 07/09細胞診で癌ではないが、白板症と診断された。白いぽつぽつの周辺に発赤斑があり、同部にびりびりした痛みあり。辛いもの酢が滲みた。
2015.08.04 レザー光線治療?を受けた。 Y病院歯科・口腔外科で、『白板症は治らない』と言われた。
A総合病院歯科・口腔外科で、組織診を受け、『白板症で経過を見るのか?手術をするかである』と言われて、手術の予定を組んだ後に、受診して来た。【治療経過】
2015.11.18 初診。治療方針について意見を求めて当院を受診した。初診時には既に、粘膜の白板はなく、その他の口腔内粘膜にも肉眼的異常所見なし。舌痛は発症時と同様の痛みが軽いが現在も存在していると言う。
初診の血算・一般血液生化学・血清亜鉛値検査をする。血清亜鉛値 <Zn:61 AI-P:259> を除き、凡そ基準値内。
2015.11.25 血清亜鉛値と当院初診時の症状と経過、肉眼的異常所見なしより、亜鉛欠乏症の疑い濃厚と判断、 11/25より、舌痛症として標準的亜鉛補充療法を開始。白板症?については慎重に追跡とした。
2015.12.08 薬の副作用等問題なく舌痛は比較的良くなったような気がする。前はかなり痛いと気にしていたが、今はそれ程でなくなった。食慾は昔から少食で変わらず。舌の粘膜も問題なし。
2015.12.28 口内かなり良い。舌尖にピリピリ感2日に 1日程度は忘れる日があり。食欲が出て、美味しい。酸いものを食べられる様になる。< Zn:85 AI-P:254> 血清亜鉛は61=〉85と大きく上昇。亜鉛補充1ケ月後のこの亜鉛値の変動は欠乏症の典型的動きであり、少なくとも亜鉛不足状態にあったことが推測された。
2016.02.03 舌のピリピリ感あるが和らいだ。一日何となく気になるが、兎に角、とても良くなった。食慾が良くなって、美味しい。食事量も増えた。<Zn:85 AI-P:247>
2016.03.30 舌中心にザラザラ感が何時もある。ピリピリ感はまだあり、強さ以前とあまり変わらず。食慾良。美味しい。昔、舌粘膜の発赤斑と白いレースの様なものかかっていたが、今は全くない。<Zn:85 AI-P283>
12/28=〉03/30まで、血清亜鉛値が全く同じとは? ?確率的に大変珍しいこと!ではないか ?
2016.05.25 舌痛は気にならなくなった。ピリピリ感、気にすると出ることあり。食欲良で、外食普通に可。体重: 48kg=)50kgに増加。
【医療・薬剤関係】高血圧でアムロジン 1T。骨粗縣症でリセドロン酸 Na7.5mg。マイスリー時々。通院のS医療センターから処方されていると言う。2015~16年当時、亜鉛欠乏症に対する薬剤のことまだ余り重視していなかった。【コメント】血清亜鉛値の動きが補充開始で61=〉85と急上昇したのは亜鉛欠乏に典型的な動きであるが、その後、 3か月間、 85と全く動かないことあまり経験しないことである。 2015年2016年頃は亜鉛と多くの薬剤(化学物質)とのキレート作用等など多少気付き始め、中でも、多剤服用者の亜鉛補充療法には症状の変化、血清亜鉛値の変化にも一筋縄で行かぬものがある経験があり、この症例でも服用薬剤のチェックを検討した。体内の亜鉛がもう飽和して平衡の値に達した?何らかのキレート作用、吸収障害や体内での亜鉛元素の不活化?等々が関係しているのか?
2016.07.20 舌はたまにざらつき、たまに痛いことあり。食欲良、食事良、変わらず。
なんとなく燻る?<Zn:65 AI-P:242>、この変動は何か?補充療法開始以来、治療法の変更もないのだが?
2016.08.01 舌のピリピリ感は残っていて、一日中、一定にある。舌のざらつきあり、滲みることはないが、昔、試切したところが痛い様な気もする。夏だからか?食欲がない。<=>何か変である。
プロマック 75D2T/分 2=>1日1回の服用に変更(腸管内の濃度を高めて、吸収の促進)を試みる。【コメント】亜鉛補充療法は投与薬の直接の薬理作用ではなく、吸収された亜鉛元素がその生理的機能を充分に果たす量(濃度?)が維持されることが大切なのである、と思う。その吸収や維持の研究がほとんとされていないこと、大変に大きな問題点である。一般には、亜鉛欠乏症は急性の疾患でなく、慢性の疾患であるので、急速な補充を要することは殆んどないし、知識が不十分な現在では、非経口的に急速に補充することなどは、大変に危険なことであると、私は考えている。
経験的にポラプレジンクの場合、今は現在の投与量(34mg/日):2錠/日を増量する必要性を殆んど認めない。
ノベルジンの亜鉛投与量には?経験ないがで、無闇に大量の亜鉛量を急に押し込んではいけないと考える。
2016.09.12 慣れて来たのか?ザラザラ感はあるが、舌痛は週1~2回、 1~2時間、軽いピリピリ感が出るが、時に、短時間すごく痛いときもある。やはり燻っているのか?<Zn:81 AI-P:266> アムロジンも リセドロンも。何れも問題のある薬剤ではあるが、、、。
2016.10.05このーケ月、気にならなくなっていたが、昨日酸っぱいものを食べて痛み、今日も痛い。
試みに、リセドロンを半年間は中止にする!!(骨粗鬆症は骨折の既往はなく、処方は検査数値によるもの)
2016.12.05 舌の痛み偶に感ずるが軽くなり、酢のもの食べられ、レモンジュース飲める。<Zn:83 AI-P:251 >
2017.02.27 全体に調子よい、大体食べられ、痛み抜けた。ざらつきは気になる。<Zn: 100 AI-P276>
2017.04.03 口内には殆んど問題なくなった。今年の花粉症は酷い。
2017.06.21 舌の左側気が付くとピリピリ感。花粉症には薬。食欲はあり、他は問題なし。<Zn:91 AI-P:266>
2017.07.24 この1ヶ月、舌痛はなくなった。亜鉛の動きも典型的なので、 2ヶ月経過見て問題なければ中止。
2017.09.20 症状に問題なく、亜鉛補充療法中止。 2017.10.02問題なく、治癒とする。 <Zn:90 AI-P:235>【コメント】来院前に、歯科・ロ腔関係の科より白板症?と肉眼・病理組織で診断され、治癒しないもの、と言われた患者。これまでの経験から診断上、亜鉛欠乏症による舌痛としても問題ないため、亜鉛補充療法をしつつ経過を追跡した。大部分のいわゆる舌痛症は亜鉛欠乏症としてよく。一部難治性の舌痛症は多薬剤服用者に多い傾向がある様に思われていたことと、ほぼ同時期の皮膚科病変を主とする多剤服用亜鉛欠乏症例の治療経験から、投与薬剤に注目し、疑い濃厚な薬剤の試みの中止が効果を示したものと考えられる症例。
2024/05 の現在。白板症、口腔内扁平苔癬など、歯科・口腔外科関係で、難治とか前癌状態とか?称されている疾患(病理組織的にも確定している)で、舌痛症と共に亜鉛補充で容易に治癒する何例かを経験している。
褥瘡や皮膚科疾患と同じく、これまでの常識から抜けて、新しい視点で粘膜疾患を見直すこと勧めたい。白板症と舌痛症も薬剤による?亜鉛欠乏だった その2
【舌痛症:わたしの亜鉛補充療法の実践】⑦投稿者 倉澤隆平 投稿日 2021年12月22日(水)【コメント】
亜鉛のキレート作用を含む多くの化学物質との化学反応を生じ易い性状から、日常しばしば処方されている薬剤と反応し、【K.M.さん①】と同様に亜鉛欠乏による舌痛症が再発したものである。多剤服用症例では確率的により発症し易いのは当然であるが、 1~2剤でも慢性的使用により亜鉛欠乏症は発症しうる。
『その様な多数の薬剤があることを知る医師はじめ医療者は殆んど居ない。』こと、警告しておきたいと思う。
【K.M.さん②】 70歳女性
【基本症病名】舌痛症再発、高血圧症?、高脂血症?骨粗縣症?腎機能障害? 【初診】 2020.09.07.
【既往歴】 2015.05頃、舌左側局所の発赤と痛みで発症し、歯科・ロ腔外科で肉眼的及び組織学的にも白板症(口腔内扁平苔癬??)と診断され、『本疾患は治癒しない。』、と外科的に切除を勧められた。局所の肉眼的所見は軽快したが同部周辺のピリピリした痛みは継続したので、手術の適応を問うて、当診療所を2015.11.18受診した症例。前回初診時、局所の肉眼的異常所見認められず。血清亜鉛値:61訴えはいわゆる舌痛症であるので、舌痛症として 2015.11.25-2017.09.20と長期間の亜鉛補充療法にて治癒した。尚、標準的亜鉛補充療法では舌痛などは軽快はしたが、症状は根抜けにならずに燻る傾向があること、血清亜鉛値の動きも典型的経過を示さないため、プロマックの投与法の変更、さらに、腎機能障害で通院のS医療センターでの処方の骨粗鬆症の『治療薬リセドロンを2016.10以後半年間は試みに中止』を患者さんを通じて依頼する。
以後、症状も血清亜鉛値も予測の動きで安定。(2016.12.05) Zn:88 =〉(2017.02.27) Zn:100 => (06.21) Zn:91=> (09.20) Zn:90と推移して、2017.10.02には、舌痛の再発を認めず治癒とした。
2017.10の舌痛症治癒後約3年弱の間、舌痛の発症なし。尚、 2019年の秋頃、S医療センターからS診療所に紹介されて転医した。2020.07頃から舌の左側面にピリピリした感じ出現、赤い斑があった。亜鉛の測定を
頼み、(20.07.30) Zn;74>で、亜鉛の薬をと頼んだが、以前に合わず止めた薬?とのことで、処方されなかった。
【主訴・現病歴】
2020.09.07再度の初診。発症時は舌左側面に赤い点(斑)があり、舌全体のピリピ リした痛みでったと言う。受診時には舌に発赤認めず、アフタ性口内炎もない。食欲はもともとない方で、現在もあまりない。花粉症、今年は軽く、皮膚の掻痒もない。初診時の一般の血液検査と血清亜鉛値の測定。<Zn:73 AI-P:235>
【医療・薬剤関係】 アムロジン、カルディサルタン、ビバスタチン、PPT他がS診療所より処方されている。
【コメント】
亜鉛はキレート作用で多くの化学物質と反応することは知られているが、体内に微量に含まれる亜鉛が、これまで微量なるがゆえに注目されて来なかったため、一般人はもちろん、一部の医師や薬学者を除いて、大部分の医師はじめ薬剤師も、薬学者も、そして当然国も、日常一般に処方・使用される薬と亜鉛とのキレート反応に全く注目してこなかった。現在も【全く知られていない】と言って過言でない。
筆者も正直申して、 2002年に亜鉛欠乏症の存在に気が付いた当時には、医療上認められ日常的に常用されている薬剤の中に、亜鉛とこの反応を持つ薬剤がそんなに多く存在するとは思ってもいなかったが、多くの亜鉛欠乏症の治療経験から高頻度に亜鉛欠乏症を発症する薬剤の存在に気付いたもので。殆んどの医師が知らないこと無理もないこと!。富田寛著【味覚障害の全貌】(2011診断と治療社)によると、実に多数の薬剤の記載 があるが、キッとその一端に過ぎず、今後早急に検討されるべきことと考える。別に稿を改めることとする。
【治療経過】
2020.09.07本患者さんのこれまでの医療経過からも、 07.30のZn:74の事実を含め、初診時よりプロマックの標準補充療法を開始。 09.16 S診療所では、何時から高脂血症としての治療が開始されたのか?薬手帖を探して来てもらうこととする。一般血液と血清亜鉛値検査の採血をする。<Zn:73 AI-P:235>
2020.09.16 プロマックの服用約10日で、症状の変化なく、また特別の副作用の問題もなし。転医後のS診療所では、何時から抗高脂血症用薬、 PPTの処方か?薬手帖を探して。
2020.10.12 舌痛は軽く 初診時の3/10程度、痛みはまだ毎日存在するが、忘れる時が多くなってきた。酸昧、辛みわさびもカレーも食べられる。<Zn: 77 AI-P: 256>
2020.11.09痛み余り感じなくなったが、思い出すと感ずる。辛いもの熱いコーヒも飲め、日常生活に支障なくなった。症状の経過より亜鉛欠乏症の舌痛再発で臨床的にはよい。ただ、血清亜鉛値の動きは、新たな抗高脂血症薬やPPT等などと関係ありそうでもあり、薬剤の関係は長引くようであれば、検討する。
治療方針は決まったので、今日の採血をし、 60日の処方、正月受診とする。<Zn:76 AI-P:250>
(検査データからはやはり薬剤の問題ある様である。)
2021.02.08舌のピリピリ感が1週間ほど前頃から出てきた。余り困らないが心配なので受診したと言う。
S診療所より処方されたプロマック?と合わせ服用していたが、薬が終わったのでとのことである。
一般の医療と舌痛症の医療を分け、もう少し目鼻が付いたら、データ含め、かかりつけ医のS先生に連絡し、一般医療と共にお願いすることに。<Zn:111 AI-P:275> 血清亜鉛値が何故?急激に上昇したのか?要検討を。
2021.04.26舌の痛みなく、食欲あって美味しい。困ったことなしと言う。白板症と言われた粘膜の所見もなし。朝のプロマックの服用はきちっとするが、夕方は忘れることありと言う。患者さんは亜鉛欠乏症の治療の経験から、薬剤のこと良く判っているから、もっと症状に応じて、適当で良いと告げて、 60日の処方を出す。
2021.07.12 その後、当院の処方でズーっと現在まで舌痛や口内のことは調子よい。 S診療所の高血圧、高脂血症の治療はそのまま続いている。血清亜鉛値をチェック。<Zn:78 AI-P:88> AI-Pは新検査法となり不連続。
2021.09.15舌.口腔内全く問題なし。 <Zn:82>今後、 S診療所の幾つかの薬剤を再検討する必要に迫られるかもしれないが、それぞれの薬剤の必要性、キレート作用の強弱、反応の部位等などの検討を要するので、当面経過を見ることにする。
記 Dr.S で舌痛はないが、血清亜鉛値を測定したところ、Zn:66となりPPIを除去、その後追跡されている。それでも舌痛発症すれば、スタチンも中止することに、2024.05まで、当診療所への再診はない。
【コメント】
『舌痛症は亜鉛欠乏症である』 この事実はまだ医療の常識になってないのでやむを得ない。
『多くの医師が考えているよりも、遥かに多くの多彩な亜鉛欠乏症がある。』
2002年、この事実に気が付いて、約20年間、この知見の周知に努力して、やっと日本の医学・医療の世界では、非常識が非常識ではなくなりつつある。舌痛症につき、本シリーズで、今後も次々と現実の症例を公開して行く、厳しい批判の目をもってじっくり検討の上、且つ適切な評価を期待している。多剤服用による舌痛症の治療;かかりつけ医の協力が必要【舌痛症:わたしの亜鉛補充療法の実践】② 投稿者: 倉澤隆平 投稿日: 2021年11月24日(水)
上記のごとく、(旧)TeaCupの『亜鉛欠乏症についての掲示板』に2021/11/24に投稿した症例の再掲です。
2021年のこの舌痛症例の治療の頃は、元素亜鉛と多くの化学物質(薬剤)とのキレート反応など、相互作用を予測してはいましたが、それ程重要な問題とは、考えていませんでした。その後、2024/06/06の今日までに、主に、舌痛症に絞って亜鉛欠乏症外来を続けて来て、常用・連用薬剤による舌痛症がかなりあること、特に、多剤服用例には難治傾向の症例が多いことをしばしば経験した。まだまだ、判らないことだらけですが、判って来たこと、予測されることなど、まとめる切っ掛けの具体的一例であるこの症例を再掲・加筆して提示します。
猶、亜鉛欠乏症と薬剤については別稿を、本掲示板の亜鉛補充療法の疑義・検討欄等に投稿します。
【0Sさん】 76歳 女性 【初診】 2021.09. 15.
【コメント】大病院の口腔外科で真菌症?として治療。その後も続くかなり強度の舌痛は『気持ちの問題』とされ、患者が自己で亜鉛のサプリメントを服用するまで、年余に渡り継続した舌痛症例です。
【基本傷病名】舌痛症 亜鉛欠乏症(舌痛、口唇痛) 高脂血症 肥大性心筋症?
【既往歴】肥大性心筋症、高脂血症(検診)、多剤服用。
2018. 12からの舌痛、 2020.05からの口唇痛、口内痛、上顎痛。 2021.08亜鉛含有サプリメント服用で変化。
【主訴・現病歴】
2018. 12ごろから舌痛発症。 2020.05からは口唇と口腔内・歯肉・頬・上顎の何れも左側のみの痛みが発症、現在にまで至る。痛みの程度は激痛で、食べ物が触れると痛い。食べなければいいが、食べると駄目である。口唇は、触れると痛い。ミキサーで流動食的にして、また、軟食でも時間をかけて食べて来た。食慾はある。睡眠も良好で、睡眠中の痛みはない。皮膚に特別の問題なし。体重48kgと6kgの減少あり。
【医療関係】 2020/10日赤・ロ腔外科で真菌症?と言われ(当時舌が赤かった?)、抗真菌薬の投与を受け、発赤はなくなった?が、舌痛等の痛みはその後も変わらずに、同じ症状が続いていた。続く舌痛は気の問題等などと言われて来た。他に近医では、検診で高脂血症との診断で、アルバトスタチン、エゼチミブ、さらに、 N病院では心筋症の診断で、 2021/07より、エナラプリルなどの処方を受けている。 「現代日本の国民病 亜鉛欠乏症」の新聞の紹介記事を見て、2021/08/22【サプリメント】(亜鉛15、クロム、セレンを含む)を服用開始した。舌痛は、殆んどなくなり、ロ腔内、上口唇の痛みは滲みる程度となった。
【診療経過】
2021/09/15 初診。今後の治療方針につき相談を含め受診。初診時の血算・亜鉛値含む血液生化学検査を施行。一般の検査データに特別のことなく、脂質も治療のためか?許容範囲。データの揃う次回受診の10/11までは同じサプリメントの服用治療を続けることとする。初診時血清亜鉛値 <Zn:73 AI-P:90>
2021/10/11 舌痛はサプリメント服用 1週間で殆んどなくなったと言う。口蓋、頬、歯肉の痛みは軽いけれど未だに、7-8/10程度は残っているが、長期間続いていた舌痛が無くなり、本当に安心した。辛い、酸味、塩昧、熱いには気を付けている。バナナ以外ミカン、リンゴ、梅干しなど食べられなかったが、先日、甘いミカン、リンゴが食べられた。これまでカレーは食べられたり、駄目の時があったが、今後、試してみる。
【サプリメント】をプロマックD 75 2錠 朝夕分2に変更とする。 <Zn:87 AI-P:86>
2021/11/08 舌痛は殆んどよくなった。口腔内は軽くなったが未だある。初めの6/10レベルである。食べ物も徐々に食べるようにしている。 < Zn : 102 A1-P: 94 > と血清亜鉛値は順調に増加傾向。【コメント】
何らかの常用薬剤が亜鉛不足の主原因である可能性が大で、亜鉛欠乏による舌痛症であることは明かである。多医療機関受診と比較的多剤服用の症例で、長野市に居住の高齢者。通院と医療機関同士の調整含め、近くの医療機関に紹介持参させて転医とした。
舌・口腔内の痛み、口唇痛も合併するいわゆる舌痛症。多くの舌痛症と異なって、食事摂取時の接触痛もあるかなりの激痛で約3年間も悩み続けた症例。サプリメントでZnを15mg服用、1週間で劇的な改善を示した症例(これ程極短期の効果の発現の経験は数例)。亜鉛不足の主原因として抗高脂血症薬等などの常用薬剤が原因の可能性大であるが、症状と血清亜鉛値のもうしばらくの追跡による体内亜鉛の蓄積・飽和の状況の確認と亜鉛不足の主原因薬剤及びその整理の可能性など、遠方より受診の高齢患者さんであるので、近くの医療機関に紹介して、調整をお願いすることとした。
【その後の患者さんからの報告】
前年は大変お世話さまに有り難うございました。
あれから新型コロナの流行などで、治療は中断しています。口内痛は軽くなってきましたが、冷風の当たるとぶり返しています。めまい、嘔気、嘔吐で薬は飲んでいません。心筋症の薬だけ続けています。中略、、、。
取り敢えず、このまましばらくすっきりしませんが、我ながらだらしないと思いつつ、目まいに、胃の不調、ふらつきとつきあって行きます。後略、、、。<本症例のごとく、容易な症状改善例でも斯くのごとし、、>
長野県下各地から、中には車で山を越えて、また、県を越えて遠方より受診される患者さんも居り、単純に、食料・食糧・食事などからの摂取不足の舌痛症・亜鉛欠乏症は比較的容易ですが、常用・連用薬、特に多剤服用、多医療機関受診の症例では治療に難渋することも多い。舌痛症だけでなく亜鉛欠乏症全体の知識の普及が求められる。症状共有の難しい舌痛症ではいざ知らず、症状も治療効果も明らかな褥瘡でさえも、薬剤の相互作用が褥瘡の発症や治癒遅延に関係する知見の周知はまだまだである。多くの薬剤が関係してるらしいことは事実であるが、発症に関わる程度も、頻度もまだまだ判らないことだらけであり、また、その治療目的でも、亜鉛欠乏の症状改善だけで良いのか??と疑問に思う。本掲示板の他の欄などで稿を改めることとします。 倉澤併用薬剤による血清亜鉛値への/顕著な影響示す1舌痛症例亜鉛欠乏症のこと、まだまだ判らないことだらけですが、【いわゆる舌痛症の亜鉛補充療法による治療中に、併用薬剤による血清亜鉛値の‟明かな変動の差”を示す症例に遭遇したので、先ず、その症例を提示します。】
㊶【I.E.さん 59歳 女性】【病歴番号:******】【初診:2022.06.**】
【既往歴】30年前頃から、毎年01月頃より05月頃まで、花粉症の症状あり、サプリ3~4年の服用あり。2019/12/** 心悸亢進(ドキドキ)感、食欲不振、不眠感があって、⓪STH病院=>②O診療所(心療内科+整形)に紹介される。2020/01/頃よりミオナール、スルピリド、ムコスタ、セルトラリン、プリンンペラン、メイラックス、ニトラゼパム、ホリゾン等などの薬剤を使用した治療を受けた。(それぞれの処方期間・経過など不詳、不明。)=>
【今回の主訴・現病歴】
22/01/頃より、上咽頭・口腔内の痛み等などの症状が出現した。O診療所では、日常の感冒などの短期処方や②の処方等を受け、①FKH病院内科では、当時逆流性食道炎?の治療等を受けていた。
22/05/17~ O診療所で、上咽頭・口腔内痛につき③コンスタン、セルトラリン、ユーロジン、スリピリドの処方を受けて現在に至る。
22/05/21 F耳鼻咽喉科で、セフジトレンピボキシル、ビオフェルミン、トラネキサム酸処方。検査でZn測定:76(**)と言われて、
22/05/28より、ノベルジン25mg2T x14日投与を受けた。しかし、変化なく、不安になって、当院を受診した。【コメント】上咽頭の痛みは風邪や花粉症の症状と似ていたので、O診療所の診療を受けたが、変化なし。
上咽頭と喉の痛みはヒリヒリ、ピリピリした痛みで現在に至る。22/02/中旬頃は、舌尖に刺す様な痛みチクチクが出現。更に舌背、口蓋全体に広がった。何時も気になる痛みで、睡眠時には痛みなし。食事摂取に問題なし。味覚・味が濃いのか?薄いのか?不明。濃い味噌汁はだめで家族はやさしいお味と言う。唐辛子×、ワサビ〇、カレーは、今年は食べていない。みかんは好きで食べ、りんごもOK。硬いものが当たると口内が痛いと言う。【薬剤・医療関係】上記のごとし
【当診療所での治療経過】
22/06/29 初診時の一般的血算・生化学に特別の異常は認めず。血清亜鉛値、Al-P値は以下のごとし。
後日判明の初診時血清亜鉛値 Zn:85(Al-P:65) <05/28~ノベルジン25mg他 14T日間の亜鉛補充薬服用後>。慣れて来たのか?舌痛8/10程度になったと言う。これまでの経過より初診時からプロマックの標準的亜鉛補充継続の処方をする。O診療所の処方(コンスタン0.5、セルトラリン50、ロラゼパム0.5)も、現在はしばらくそのまま続けて、精神科的状態を見て薬剤の調整をお願いする方向で、舌痛症について当院で亜鉛補充療法とすることにする。
22/07/13 プロマックの服用で困った副作用はなし。舌痛症状もその後の変化なし。舌と上顎のザラザラ荒れた感じ、味の感じも変わらず。通常、補充療法初期(2w)に、プロマックの副作用の有無と初期の効果の確認をする。
22/08/24 ほとんど変なしだが、舌痛軽くなり、違和感が強いとも言う。舌背の感じ多少軽快。 Zn:114(72)
22/09/10 上顎の火傷の様なヒリヒリ感は6/10程度となる。上顎のザラザラ感も軽く。熱いもの、辛いもの×、冷たいものは〇、カレーは食べられると言う。
22/09/26 大きくは変わらず。咽頭痛は無くなった。舌前方の2/3と上顎の痛みまだある。ものを食べているとよいので、しばしば、グミを噛んでいると言う。 Zn:104(72)
22/11/07 ヒリヒリ感の範囲が狭くなって、軽くなった。Zn:85(77)
23/01/25 山の峠を越えての遠方よりの受診で、積雪等で道路状態が悪く受診できず。
23/02/06 前回の受診後22/11/07から10日程はまあまあであったが、11/16に舌の中心部に米粒が当たっても、痛い感じが生じ、T病院口腔外科で、真菌が少し+?と言われ、うがい薬の処方を受けた。舌の中央の痛みは自然に治まった。舌と上顎の火傷の様な痛みは22/11/07のレベルで、現在に至ると言う。 Zn:83(72)
プロマック飲み忘れることありと言う。プロマック2錠/分2(P:2T/2~)を、当分の間は、真面目に続けること、注意!
セルトラリン、ロラゼパム(現在、サインバルタとロラゼパムの2剤のみの服用と言う)。<=>コンスタンの中止は何時か不詳?
23/03/15 調子悪い??動悸も感ずる??①心療内科の処方の変化?と②症状の変化③血清亜鉛値の変化等を経時的に合わせてみる様に、症状処方の変化を11/07以後キチッと記録して!!と指示。
現在の血液検査:血算・生化・亜鉛値等、確認する。Zn:95(78) 亜鉛欠乏の舌痛でよいが、データが燻る。
23/04/12 04/10風邪傾向で咽頭痛あり。03/15から今回まで、口内痛は大分良かった。咽頭痛は風邪による?と考え、現在の(P:2T/2~)の処方で治療を継続。 Zn:87(74) <=>併用薬ありでは、まだ補充が不十分か?!
23/05/15 前回受診の翌日04/13 口内にアフタ性口内炎多発し、1W程痛み止めと食事時の痛みがあって治療をした。昔1回アフタ性口内炎の既往あり。アフタ後は口内痛は初診時の1/2程度となり、忘れていることもあり、精神的にも楽になった。ただまだ、熱いものと唐辛子は滲みる。カレーも食べられ、困ったことなし。ウイルス感染やストレスで血清亜鉛値は低下し、潜在的な亜鉛不足状態では、しばしば欠乏症状が再燃する。この症例もそんな状態にあるのかも知れない。先は見えた??ゆっくり補充処方の検討を。 Zn:93(72)
【コメント】
セルトラリンやロラゼパム等などのSSRIや多くの抗不安・精神安定用薬剤等には、まだまだ、追跡が必要ではあるが、その構造式等から元素亜鉛とのキレート作用などの複雑な化学反応の可能性があり、元素亜鉛の不活化(?)等による血清亜鉛値の高値または低値を示す亜鉛欠乏症を発症する可能性があるらしい。その様な多くの薬剤が存在すること、あまり臨床医療の現場では知られていない。キッとこの症例はその様な例であると考えられる。~『味覚障害の全貌』冨田 寛~精神科関係以外にも疑われる多くの薬剤あり。稿を改めるが、是非関心を!
<セルトラリンまたはロラゼパムの減量可能か?それとも、1日の亜鉛総投与量を変更せず、P:2T/1回の処方として、しばらく、腸管内と体内の濃度差を利用した押し込みで、実質的亜鉛不足の解消の可能性を試して見るか?!
23/06/28アフタ性口内炎、最近も発症している。舌痛の程度変化なし。味覚についても料理の味薄いと家族が言うとのこと。抗うつ剤等の服薬ありでは、現在の亜鉛補充では不足か?? この症例の問題点を整理する。①HLの検査、受診以来大きな変化無し。②現在うつ状態はないので、セルトラリン25mgを隔日としつつ離脱可能でないか?③ロラゼパムの服用減は将来的に可能か?④P:2T/1回(P:2T/1~)に本日より変更する。 Zn:93(82)
23/07/26 P:2T/1回で口腔内潤い、舌痛1/2に軽快、ピリピリヒリヒリ感に。アフタ性口内炎なし。 Zn:129(71)
23/08/30 舌痛ピリピリ、ヒリヒリ感としてあるが、殆んど気にならぬ様に、初診時の1/10~2/10 レベルとなった。うつ病薬、精神安定剤服用中でも軽快の症例。投与法変更後の亜鉛値の動き、正解であった。Zn:120(69)
23/10/16 P:2T/1朝~でZn安定。口腔内症状気にならず。うつ状態も、ドキドキ感もなし。現在の服用薬剤はセルトラリン25mg、不眠時にロラゼパム服用、その他の薬剤プロマックのみ。舌痛症の治療はほぼ完了か? Zn:99(71)
そろそろO診療所の主治医に全身状態含め調整をお願いしよう。 セルトラリン50mg=>25mgになった時期!?24/01/10 前回から今回受診の間に、ドライアイを主訴として某眼科を受診。①記の様なトラブルとなる。
①記。23/10/23 ドライアイの原因につきセルトラリンの副作用の疑い(S-J症候群?)かとされ?て10/25 セルトラリン=>ハイゼットに変更された。変更後2~3日で、頭痛や混乱が発症。11/08 パロキセチンに変更し、症状2~3日で治まったと言う。
某県中央Hの眼科、内科、口腔外科でS-T症候群、シェーグレン症候群、シンチ等の諸検査を受け、問題なしとのこと。
(24/01/10)受診時の処方等の経過確認!!
セルトラリン25=>ハイゼット(10/25)=>頭痛混乱の副作用=>パロキセチン(11/08)=>2~3日で混乱元に戻る。口腔内症状は23/10/16の受診当時と同じく気にならず。うつ状態なく、ドキドキ感もなしと言う。後日判明した血清亜鉛値等の検査結果、Zn:176(75) 何らかの問題が発生中である。
2024/03/04 Zn:146(79) ①のトラブルからの回復後、前回受診時と同じく、上咽頭、喉頭、口腔内の痛みなど初診の様な症状なく気にならず、気分も安定している。現在の服薬はパロキセチン(10mg)と不眠時のロラゼパムにプロマックの服用のみ。SSRI等の急速な中止・中断は気を付けることは共通の認識であるが、患者情報にて定かでないが、たまたま、他科で重篤そうな副作用?を指摘されてのSSRIの急速な中断による離脱症状の発症であった様で、現在は同系統のパロキセチンの処方で精神科的症状は安定している様である。
血清亜鉛値の変動落ち着けば、受け持ち医に紹介することとしよう。
24/04/15 以前の口腔内症状はなく安定している。セルトラリン(25)=>パロキセチン(10mg)を(5mg)として、時に頭痛や不安が生じた時ロラゼパム1T追加することはあるが、ほとんど問題ない。兎に角、精神科の薬剤は徐々に!減量することは患者が理解しているので、主治医には何時でも転医可能。患者、雪がなくなり峠越えは問題なく、もう暫く通院と!!血清亜鉛値とAl-P値追跡して置く。Zn:168(76) 相変わらず亜鉛高値(Al-P値の変少し)。
24/05/29 Zn:217(81) 全体としては変わりがないが、5月中~下旬に、数か所のアフタ性口内炎の発症があり、
2週間程度治癒が長引いたとのこと。その後、服用薬剤や生活には特別の変化なしと言う。
セルトラリン25mg+ロラゼパムとプロマック2錠/1回~の安定状態から、セルトラリン=>パロキセチンへ変化後の代謝の不安定状態がまだ終息せず、体内の亜鉛不足状態が継続している?!
24/06/28 5月中旬のアフタ性口内炎の発症以後は、口腔内の症状が初診時当時の状態に戻った感じと言う。症状の強さや程度はもう今は比較できないが、ヒリヒリ、ピリピリした火傷の様な痛みを感ずるとのこと。
これまでの治療経験から不安感やドキドキの気分の臨床上の不安定状態はない。 Zn:192(80)
SSRIの微妙な除去と亜鉛補充療法の調整は主治医と連絡を取りながら協力して行う必要があり、紹介状。 【コメント】
多くの医師・薬剤師や薬学者が予測していたが、臨床上不知の少なからぬ薬剤同士の反応の存在を示している。たまたま、血清亜鉛値の測定が容易に行われる様になり、その検査データから驚くほど多くの薬剤の相互作用の存在が明かになりつつある。特に、亜鉛は多くの化学物質(薬剤)とキレート作用などの化学反応を生じ易い性状があり、併用された活性物質である薬剤と生体内で予測以上に相互反応を生じていること、心に留め置くべきであるが、臨床的に何らかの症状を示すことはキッと少ないものと考える。だが、この事実を医師として知っている必要があり、薬剤の処方時に常に心に置くべきことである。本症例は、セルトラリンとパロキセチンのキレート作用などの強さの差が、その血清亜鉛値の数値の差として表れたものと予測される。
【Zn(Al-P)データ等変動のまとめ】
Zn:76(**?)(22/05/21ノベルジン25x14T)=>85(65)(22/06/29-P:2T/2~)初診=>114(70)(08/24)=>104(72)(09/26)=>85(77)(11/07)=>83(72)(23/02/06)=>95(78)(03/15)=>87(74)(04/12)=>93(72)(05/15)=>93(82)(06/28-P:2T/1~)=>129(71)(07/26)=>120(69)(08/30)=>99(71)(10/16)=>①=>176(75)(24/01/10)=>146(79)(03/04)=>168(76)(04/15)=>217(80)(05/29)=>192(80)(06/26)併用薬剤との相互作用の存在が血清亜鉛値の変動として、明らかになったことは【血清亜鉛値とその基準値、及び亜鉛欠乏症の診断・診療に大きな意味を持つ新事実】の一つと考え、最近のいわゆる舌痛症の外来等などよりえられた知見と合わせて、【血清亜鉛値と基準値】、【亜鉛欠乏症の診断・診療】に関連して再記載。
某大学病院にて治癒しない病気と診断40年苦悩した舌痛症【O.H.さん 女性】【病歴番号*****】【1946/**/**】【初診 2022.03.**】
【診断・症状】40年間続いた舌痛症 大学病院で治癒しない病気と言われ我慢していた。
【既往歴・薬剤】やや、偏食傾向ありのやせ型であるが、特別の既往歴なし。常用・連用薬剤なし。
【コメント】40年程前頃から左側舌の限局した痛み発症。九州地方の**大学口腔外科受診。診断?
舌痛は、ヒリヒリとしびれる感じの痛み。嚥下に違和感あり。MCV:1.03(65歳ごろからMCV:1.0を越える。
元来、肉が嫌い。魚は時々食す。2022/04/04より、標準亜鉛補充療法を開始 3週間で、舌痛は軽快・治癒!
【治療経過】
22/03/30 初診時40年来続いた舌痛の訴え。やせ型の女性。その他、口腔内を含め問題となることなし。
22/04/04 初診時の血清亜鉛値と(血清Al-P値)Zn:64(66)。標準的亜鉛補充療法(P:2T/2~)を開始する。
22/05/02 亜鉛補充療法約3週間で、舌痛の症状軽快。Zn:77(68)。イヤな痛みの感じが無くなった。
22/06/01 うっかり忘れて受診せず。
22/06/15 その後2週間程の薬剤服用なしであるが、症状軽快し、兎に角、イヤな感じの痛みがないと言う。
本日の受診日まで、40年間も続いた舌痛の症状が”なし”が続いていると言う。Zn:76(63)。
22/07/13 2日間程、以前と同じ感じあったが、その他の日は良かった。痛みでなく、少ししびれた感じ?。
食事の傾向について、元来肉が嫌いで、日頃に貧血傾向はあった。Zn:78(66)。
22/08/24 舌の感じ、意識しなくなる。困ったことなし。食事には気を付ける様になった。 Zn:56(66)。
<=>この様な急激な血清亜鉛値の低下は何か?薬剤等の服用なし。参照;コロナの予防注射(22/07/31)に受けた。
22/10/03 その後、特に変わったことなく。少なくとも不快な舌痛はない。Zn:79(65)。
22/11/16 11/07都合悪く非受信。プロマックD2錠/分2(P:2T/2~)の服用は続けていた。 Zn:72(66)。
23/01/16 その後、コロナの予防注射どうなったか?約1か月前に注射を受けたが影響なし? Zn:80(65)。
この間に歯科の治療などを受けたが、舌痛は起こらず。食欲は、確かに、前よりあり。
23/03/06 40年余続いた初診時の舌痛の症状なし。食欲良。P:2T=>P:1Tにしても良い。 Zn:74(72)。
【コメント】1年間のプロマック2Tの標準的亜鉛補充療法を継続し、初診時に問題であった舌痛は発症せず。血清亜鉛値は初診時の64㎍/dL低値傾向が1年間の補充療法でも、80㎍/dLと15㎍/dL程度の上昇しか示さず。ただ、舌痛の消失以外にも体調も良好と言う。固有の血清亜鉛値が低値傾向で、15㎍/dL程度の変化でも欠乏症状が改善されるものかも知れない。補充療法として、プロマック2T(Zn:34mg)の補充が必要かを検討して見よう。MCVについては、葉酸、ビタミンや血液学的にも特別の問題なく、経過追跡とする。
23/04/03 P:2T/2=>P:1T/1~に変更して続ける。1回/2ケ月程度の追跡受診を!
23/06/05 P:2T/2=>P:1T/1~になりどうかと思ったが、ぶり返しの所見なし。舌痛は初診時10/10=>01/10~02/10とイヤな痛みはなく、比較をすればあるかな?のレベルで困らない。Zn:58(62)<=>この値どう解釈??
23/08/07 P:2T/2=>P:1T/1~に変更をしても、口内のこと気にならず。大きな変化はなし。だが、Zn:64(62)とやはり可能性ありか?潜在的状態か?P:1T/1~を続けるが、亜鉛不足になる可能性はありそうに思われる。
23/10/02 兎に角、嫌な感じの口内痛は起ることなく、その他、気になることはないと言う。 Zn:67(70)。
P:1T/1になって、血清亜鉛値は約60㎍/dLのレベルだが、もう暫くこのままAl-P値も含めて追跡する。
23/12/04 特別の変わりなし。10月頃から暫く歯科の治療中、歯科痛と軽い舌痛があった?が、
その後、舌痛を含め全身の体調に問題なし。初診時に比して、体重増41kg=>45kgとなった。 Zn:71(64)。
24/02/05 特別の変わりなし。初診時の舌左側部の痛みなし。多少のしびれ感感ずることあり。 Zn;47(61)。
何故か??この値になった?兎に角、P:1T/1~では補充が不十分の感あり、04月よりP:2T/2~にすること。
24/04/01 自覚的には特別の変化は無く、これはと言う症状ないが、本日よりP:2T/2~とする。 Zn:68(67)。
MCV:1.03=>(1.01, VB12:188,葉酸:8.7 TSH:4.73)にて、Dr.Sに紹介。経過を追跡のこと。
24/05/15 Zn:86(73)。亜鉛酵素系は予想通りの上昇、一応欠乏パターン。P:2T/2~となり特別の問題なし。
24/07/24 Znが上昇して何か違いがあるか?=>受診せず=>08/19受診とする。
24/08/19 Zn:83(64)。 前回ウッカリ、受診日を忘れてしまった。薬剤はほぼ終わってしまったが、初診時の舌痛はもちろん、現在、特に困ったことなし。体調は良い感じであると言う。P:2T前後で適当で良い。
舌痛症の病態及び原因、その他の亜鉛の効果について、かなり理解できていること、P:2T~1Tの補充で、コントロール可能のこと、およそ判ったので、患者にまかせることに。P:2Tx90持たせて卒業とする。
【Zn(Al-P)データ等変動のまとめ】
Zn:64(66)(22/04/04-P:2T/2~)=>77(68)(05/02)=>76(63)(06/15)=>78(66)(07/13)=>コロナ予防注射(07/31)=>56(66)(08/24)=>79(65)(10/03)=>72(66)(11/16)=>80(65)(23/01/16)=>74(72)(03/06)=>71(67)(04/03-P:1T/1~)=>58(62)(06/05)=>64(62)(08/07)=>67(70)(10/02)=>71(64)(12/04)=>47(61)(24/02/05)=>68(67)(04/01-P:2T/2~)=>86(73)(05/15)=>83(64)(08/19)
【コメント】約40年前から舌左側の痛みあり、某大学病院の口腔外科受診、『治癒しない病気』と言われる。初診Zn:64=>亜鉛補充療法でZn:80前後となり。40年続いたイヤな感じの舌痛が亜鉛補充3週で発症せず。食欲も良。40年余継続した舌痛は、亜鉛補充で発症しなくなった。それ以外の亜鉛欠乏症の自覚的な症状、ハッキリしない~なし。常用・連用の薬剤なし。低血清亜鉛値傾向の症例。P:2T/2~P:1T/1の亜鉛維持継続中。MCV>1.03=>1.01、葉酸、VB12も基準値内で経過見。P:2T/2~で、やはり酵素系上昇、欠乏症パターン。 -
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