論理的亜鉛補充療法の実践(Ⅰ) ~亜鉛欠乏症の診断と治療~
日付: 2017年2月13日
【血清亜鉛値の絶対値で、亜鉛欠乏症の診断は出来ない】
常識を覆すこと本当に大変なことです。
多数で、多彩な症状の亜鉛欠乏症の存在に気付き、今年で15年に成ります。
余りに多彩な臨床症状ですので、医師、特にそれぞれの専門医達にはなかなか受け入れ難かったようですが、それでも最近は徐々にその知見が受け入れられつつある様に思います。
しかし、未だに、親しい友人達などが、
『倉澤の言うことは判った。確かに君の言う亜鉛欠乏症らしき患者は大勢いる。
….だが、私のところでは、殆どの血清亜鉛値は正常値で、亜鉛欠乏症は少ない。』
と言う。
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学会などでも、未だに、うっかり【基準値は正常値である】と言う間違った常識が通用している。
亜鉛欠乏症の臨床は、まだまだ判らないことだらけであるが、判ってきたこと、科学的に推測され得ることも多くなってきた。
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ここで亜鉛欠乏症の現在の基礎的な知見や臨床上や社会的な種々の問題点をも踏まえ、
【亜鉛欠乏症の診断と治療】について、【論理的亜鉛補充療法の実践】のシリーズで書いてみたいと思う。
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亜鉛欠乏症の診断と治療は
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【血清亜鉛値が〇〇μg/dl 以下だから欠乏症である】
などと単純に血清亜鉛値の絶対値では診断できない。
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アナログである生物の生物学的なデータは殆どがそうで、
特に純系でない雑種であるヒトの生体データを統計的に処理したいわゆる基準値は
【特定の条件下での集団の大凡の目安の数値】であり、必ずしも個の正常値ではない。
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血清亜鉛値については後でまとめて記述するが、
これまで有名な教科書でも、血清亜鉛値はばらついて、欠乏症の診断・治療には役に立たないとの主旨の記載があったり、
血清亜鉛値で欠乏症、潜在欠乏症、非欠乏症と強引に分類して、
【非欠乏症(血清亜鉛値正常?)でも亜鉛補充療法で効果のある症例がある】などとの論文が一般的であった。
さらに最近は【低亜鉛血症】とか??科学的定義の怪しげな言葉まで出現しつつある。
アナログであるヒトの医療にデジタル思考の医療汚染が広がる。大変困ったことである。
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血清亜鉛値 50μg/dl でも何の欠乏症状を示さない人もいるし、
血清亜鉛値が 130μg/dl でも立派な亜鉛欠乏症の人がいる。
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では、血清亜鉛値の測定は意味がないのか??
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イヤイヤ、血清亜鉛値を測定し、血清亜鉛値の推移と臨床症状の変遷の動きなど見ながら、
論理的に診断し、治療をすることが大切。
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【論理的亜鉛補充療法】の実際をシリーズで記載することにする。
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亜鉛欠乏症の診断と治療は
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(Ⅰ)臨床症状より疑い、
(Ⅱ)血清亜鉛値等を測定し、
(Ⅲ)亜鉛欠乏症である可能性の確率を考慮し、可能性が高ければ、
(Ⅳ)亜鉛補充療法を試行する。
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そして
(Ⅴ)血清亜鉛値等の推移と臨床症状等の変化を合わせ、総合的に診断する。
(Ⅵ)その後の治療の継続の可否や亜鉛不足の原因の推定、維持療法や予防法等について、
…………特に、近年の多薬剤服用症例への対応等など全体的な検討をする。
多くのことが判ってきたとは言え、亜鉛欠乏症や亜鉛生物学のことは判らないことだらけである。
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疑問点、討論すべき問題点があれば、
亜鉛欠乏症の第一、第二ホームページの 共通の掲示板 で討論・議論出来れば有難いと思う。